位置情報を暗号化しほかのアップルデバイス経由で伝える
まずは、AirTagの仕組みをよく理解しておこう。
AirTagは、搭載しているCR2032電池で「1年以上駆動できる」とアップルが説明してることから分かるように、使用しているのは消費電力の少ないBluetooth。それ自体ではGPSの位置情報を取得できるわけでもないし、セルラー通信もできない。10mほどの通信距離しか持たないBluetoothのみを搭載しているシンプルな仕組みだ。
では、なぜ、紛失した時に位置が分かるかというと、世界中で数多くの人が持ってるiPhoneをはじめとしたアップルデバイスを経由して位置情報を伝える仕組みになっているのだ。
たとえば、あなたがAirTagを入れたバックを駅のホームに忘れたとする。最初は、まずあなたのiPhoneのBluetooth圏内から離れた時に置き忘れの通知が来る。その後は、近くにある「誰かのiPhoneやiPadなどのアップルデバイス」を経由して、AirTagの位置情報は通知され続けるというわけだ。
もちろん、通信は完全に暗号化されているので、経由するiPhoneなどのアップルデバイスは感知しないし、誰のデバイスを経由してきたかは一切分からない仕組みになってる。また経由されるとはいえ、位置情報のデータなどはごくわずかなので、誰かの通信を担ってるというほどの負荷でもない。
もちろん、国によって多少の密度の差はあれど、世界中にユーザーがいるiPhoneならではの方法で、AirTagは位置情報をユーザーに伝える仕組みになっているのである。