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有機物質のトポロジカル絶縁体を世界で初めて発見=東大など

2023年04月27日 21時21分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学と大阪大学の共同研究チームは、2次元有機伝導体(電気を流す有機分子性の物質)において「トポロジカル絶縁体」状態が実現していることを実験的に明らかにした。これまで理論上の存在であった「有機トポロジカル絶縁体」が存在していることを初めて示した実験結果であり、トポロジカル絶縁体が実現するメカニズムの解明に向けて重要な知見を与えるとしている。

東京大学と大阪大学の共同研究チームは、2次元有機伝導体(電気を流す有機分子性の物質)において「トポロジカル絶縁体」状態が実現していることを実験的に明らかにした。これまで理論上の存在であった「有機トポロジカル絶縁体」が存在していることを初めて示した実験結果であり、トポロジカル絶縁体が実現するメカニズムの解明に向けて重要な知見を与えるとしている。 トポロジカル絶縁体は表面が金属、内部が絶縁体という特殊な伝導性を持つ物質であり、量子コンピューターや超省電力デバイスへの応用が期待されている。特に、安価で柔軟性のある有機物質を用いた有機トポロジカル絶縁体は、トポロジカル材料の実用化に向けた重要な課題として世界的に探索されているが、実験的に確かめられた例はこれまで存在しなかった。 研究チームは今回、有力な候補物質の一つである有機伝導体「α-(BETS)2I3」の輸送特性を詳細に調査。同物質が絶縁体表面に金属状態が存在するトポロジカル絶縁体であることを示した。さらに、同物質が、通常のトポロジカル絶縁体では観測されない負の磁気抵抗効果(磁場によって電気抵抗が変化する現象)や巨大非線形伝導(電圧と電流との間に比例関係が成立しない現象)などのユニークな物性を示し、外場制御が容易な機能性材料として高い応用可能性があることも明らかにした。 今回の成果は英国科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に2023年4月20日付けでオンライン掲載された

(中條)

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