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ランサムウェア対策が好調な日本市場、新発表の「Veeam Data Platform」も紹介

ヴィーム古舘社長、日本でトップシェア狙う「第2ステージ」を語る

2023年04月17日 15時40分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 データ保護ソフトウェアのヴィーム・ソフトウェア(Veeam)が2023年4月12日、日本市場における事業戦略説明会を開催した。市場シェアトップを目指す戦略として、OEMサポートビジネスの開始、チャネルパートナービジネスの拡大、業界別ソリューションの提供などを進める計画だ。

製品の新コンセプト/パッケージ「Veeam Data Platform」も紹介した

ヴィーム・ソフトウェア 執行役員社長の古舘正清氏、同社 ソリューション・アーキテクトの高橋正裕氏

ランサムウェア対策が後押し、日本は5年連続でグローバルを上回る成長

 日本市場全体の概況と今後の戦略について、ヴィーム・ソフトウェア 執行役員社長の古舘正清氏が話した。

 仮想化環境のバックアップソフトウェアとして2006年に創業したVeeamは、後発でありながら市場シェアを伸ばしてきた。現在はFortune 500企業の81%を含む45万社を顧客に抱え、「2022年のIDCによるデータでは市場シェアは2位。1位とほぼ同じ数字だ」と古舘氏は胸をはる。ネットプロモータースコア(NPS)は82に達している。

 グローバルの好調な業績をさらに上回るペースで成長しているのが日本市場だ。最新の顧客事例として、バックアップツールを社内で統一するために統合バックアップとしてVeeamを採用したKDDI、レガシーバックアップからの移行先としてVeeamを選んだ立命館大学などを紹介する。

 中でも大きな後押しになっているのが、日本でも被害数が急増しているランサムウェアへの対策だ。2022年には大阪府にある病院や、トヨタ系列の部品メーカーなどがランサムウェア被害にあったことが大きな話題となった。Veeamの年次調査でも、85%の企業が過去1年間にランサムウェア攻撃を1回以上受けていたことが明らかになった。古舘氏は「バックアップは最後の砦。ここからデータを取り戻せる体制にしようという動きが増えている」と語る。

 もうひとつ、上述の調査では、82%の企業がシステムが停止した場合に「手作業でデータ復元を行っている」こともわかっている。古舘氏は「しっかり自動化をして、クラウド環境を含めてランサムウェアに耐えうる体制を持つことが重要」と述べた。

ヴィームジャパンは「第2ステージ」へ

 ヴィームが掲げる目標は「ナンバー1のデータ保護ソリューション企業」(古舘氏)だ。

 これまで日本市場では、エンタープライズ事業の拡大を図り、パートナービジネスの基盤を構築し、サービスプロバイダ事業も拡大してきた。国内の顧客数は2500社に及び、提携するサービスプロバイダの数は100社を超える。大阪と名古屋に支社を設けるなど地域拠点の拡大を図った。チャネルパートナービジネスを担当する副社長として、競合アクロニスより大岩憲三氏を迎え入れた。

 これを「第1ステージ」とすると、2023年以降は「第2ステージ」となる。

 第2ステージにおけるフォーカスは4つ。これまでの「チャネルパートナービジネス拡大」「地域拠点の拡大」に加えて、新たに「OEMサポートビジネス」「業界別ソリューションの提供」の2つが加わる。

今年からは「第2ステージ」として“シェアナンバー1”の獲得に乗り出す

 OEMサポートビジネスでは、日本のOEM 3社との関係を強化するべく、サポート人員を5倍に増員して、「難易度が高いインシデントに対応でき、ほとんどのケースを国内で完結できる」L2サポートの対応を提供する。すでに米国本社の承認も得ているという。

 業界別ソリューションについては、まずは医療、教育、製造、自治体の4業界にフォーカスし、パートナー企業と連携して特化型のサービスを提供する。今後、業界むけのWebページ制作などのコンテンツも増やしていくという。

 継続的な取り組みとなるチャネルパートナーでは、大手チャネルパートナーとの提携を進めていく。2022年にネットワールドとの提携により国内初となる「Veeam認定教育センター」を開設したが、これについてはVeeam製品を扱うエンジニアのレベルを向上することで、エンドユーザーに高品質のVeeam環境を提案、構築することを狙う。リセラーについても教育拡充を図るという。

 地域拠点では、九州地区にも拠点を置く計画だとした。

2023年の国内事業戦略。4つのテーマを挙げて説明した

3製品でバックアップを包括的に支援する「Veeam Data Platform」

 最後に古舘氏は、新たな製品コンセプトを「Veeam Data Platform」と定め、ビジネスを進めていくことにも触れた。これは今年2月にグローバルで発表されたもので、これまでのバックアップ、復旧、監視と分析に加え、「復旧の自動化までを提供する」(古舘氏)点が特徴となる。

 さらに、「Veeamソリューションで最上位の対策をしたにもかかわらず、ランサムウェア攻撃後の復旧に工数がかかった場合は、Veeamがコストを補償する(上限あり)」という、ランサムウェア補償も含む。

Veeam Data Platformで提供する機能の全体像

 Veeam Data Platformは、Premium、Advanced、Foundationの3エディションで展開する。主力製品である「Veeam Backup & Replication(VBR)v12」がすべてのエディションに含まれるほか、PremiumとAdvancedには監視とアラートの「Veeam ONE」も含まれる。またPremiumでは、リカバリのオーケストレーションを行う「Veeam Recovery Orchestrator」も含まれるほか、先述したランサムウェア補償「Veeam Ransomware Warranty」も適用される。

Veeam Data Platform 3エディションの構成

 Veeam Data Platformのコンセプトについて、同社ソリューション・アーキテクトの高橋正裕氏は次のように説明する。「バックアップの台数が拡大しており、モニタリングレポートや、戻したいデータがどこにあるのかを把握できるためのデータマネジメントが求められている。さらには、Veeamの特徴であるリストアとリカバリでは、リカバリーオーケストレーションにより何かあったときに回復などの操作をする人を支援する」。

 中核となる最新版のVBR v12では、100以上の大型の機能拡張や新機能を導入した。高橋氏はその中でも、データセキュリティ(スライド19)、データリカバリ(スライド20)、データフリーダム(スライド21)をピックアップして、新機能を紹介した。

 Veeam ONE v12については、「バックアップのジョブはバッチリでも、データがどこに、どれぐらいあるのか、バックアップデータは健全なのかなどが把握できていない。つまり、バックアップを取ってはいるが、管理していない状態」に対するソリューションとなる。VBRはもちろん、「Veeam Backup for Microsoft 365」などのバックアップデータ、さまざまなバックアップ対象に対するアラートやレポートが得られる。

 最新版Veeam ONEでは、バックアップジョブがどのぐらい、どの時間帯に動き、成功したのかどうかなどを可視化できる「ジョブカレンダー」機能が加わった。また、バックアップデータの容量推移や仮想マシンのCPU/ネットワーク/ディスクI/0の推移からランサムウェアを検知する機能もあるという。

 Premiumで利用できる「Veeam Recovery Orchestrator」は、VBRのバックアップ情報、Veeam ONEのマネジメント情報を使って、自動化を行うツールとなる。

「Veeam Recovery Orchestrator」の概要

 こちらも最新版(バージョン6)の機能として、RPOの復旧時点とRTOの復旧時間を見て、それが合致していなければアラートを出すなどの機能や、Microsoft Azure VMとしてバックアップをリカバリする「Cloud DR」、Veeam AgentのバックアップをVMとしてリカバリする「Agent DR」、復旧時にランサムウェアをスキャンする「Clean DR」などが加わったと言う。

 これらの技術に加えて、Veeam SEとして導入前のランサムウェアアセスメント、導入後に改善点などを提案するヘルスチェク、Veeam ONEの導入支援やレビューを行うVeeam ONEコンサルティングといった支援も提供する。

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