2023年4月14日、AWS専業のクラウドインテグレーターであるサーバーワークスは、AWS(アマゾン ウェブ サービス ジャパン)と4年におよぶ戦略的協業を発表した。発表会ではサーバーワークス 代表取締役社長 大石良氏が登壇し、事業概要や協業の中身、協業に至るまでの背景を説明した。
4分野で290億円の新規ビジネスを創出する協業
2000年創業のサーバーワークスは、2009年からAWS専業のクラウドインテグレーターとしてSIサービスを提供している。AWS公式の認定資格保持者が数多く在籍しており、「AWSプレミアティアサービスプロバイダー」にも9年連続で認定されている。
サービスとしてはAWSの請求代行や技術サポートはもちろん、導入支援、保守、自動化などをワンストップで提供する。すでに1100社を超えるAWSの導入実績を誇り、プロジェクト数も1万6000以上を数える。「1社あたり10以上のプロジェクトを支援していることになる」(大石氏)とのことで、特にエンタープライズと呼ばれる大規模環境で高い実績を誇る。
今回発表されたAWSとの戦略的協業では、「エンタープライズ企業のクラウドインフラ共通基盤の整備」「中小企業におけるAWS活用とDX推進」「Amazon Connectによるクラウドコンタクトセンターの構築支援」「デジタル人材育成のさらなる強化」の4領域を対象とし、今後4年間で290億円の新規ビジネスを創出していくという。
特に国内最大規模の70社近くの導入事例を持つAmazon Connectに関しては、「コロナ禍を経て、コンタクトセンターの需要は非常に高くなっている。70社の導入は国内最大級と聞いているが、ポテンシャルから考えれば桁が2つ3つ違う市場が見込まれる」と大石氏は語る。また、デジタル人材に関しても、15年かけて760名まで育ててきたAWS認定資格保有数を、4年間で倍増させていくという。
クラウド活用や内製化、DXを支援する専門家集団を目指す
ゲストで登壇したアマゾン ウェブ サービス ジャパン 執行役員 パートナーアライアンス統括本部長の渡邉宗行氏は、サーバーワークスが日本でのAWS事業やパートナー施策が本格化する以前から、AWSインテグレーターとして道を切り開いてきたことを高く評価する。
また、渡邉氏は今回の戦略的協業の背景としてクラウドエンジニアの不足とDX支援のニーズ増加を挙げる。「コロナ禍でいろいろな状況が変わった。脱コロナでまた変わっていく。こうした状況に、いかにスピーディに対応できるか。サーバーワークスさまと手を携えて、お客さまに伴走していきたい」と語った。
今回の協業は伴走や内製化が大きなキーワードになるという。大石氏は、おもにエンタープライズ分野での今後の動向として「システムの内製化は不可欠なもの。システムの内製化はすべての開発を内製化するのではなく、コントロールを取り戻すことだと理解している」と指摘する。
その上でユーザー企業は社内で新しい技術やサービスを理解し、適応領域や組み合わせを仕訳できる組織や体制を構築し、サーバーワークスはそのユーザー企業の山登りを支援する「シェルパ」のように専門的な知識と経験でサポートしていく立場になるという。「内製化をお客さまと進めながら、コントロールはお客さまで確保し、専門化集団として、今後も頼られる存在になっていく。そして、こうした環境をAWSとの協業で進めていくのが今回の発表の趣旨」と大石氏は説明した。