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マイクロソフト、量子と古典コンピューターを統合「Azure Quantum」新ハイブリッド機能を公開

2023年03月10日 20時15分更新

文● 田口和裕

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 マイクロソフトは3月8日(現地時間)、同社の量子コンピューティングプラットフォーム「Azure Quantum」の新しい統合ハイブリッド機能を公開した。

 この機能は、量子コンピューターと古典(従来の方式)コンピューターをクラウド上でシームレスに統合するもので、Azure Quantumが提供する量子コンピューターの一つ「Quantinuum H-Series」上で、量子と古典のコードを混ぜたハイブリッド量子アプリケーションの開発が可能になる。

量子・古典コンピューターそれぞれの長所を活かすハイブリッド技術

 古典コンピューター(スパコンやAIも含まれる)はこの100年で急速に進化し、あらゆる産業を変革してきたが、処理が複雑すぎて古典コンピューターでは解決できない、または時間がかかりすぎる問題も存在する。例えば、新素材・新薬の開発、組み合わせ最適化問題、高度なAIなどだ。

 量子コンピューティングは、量子力学の法則を用い、古典的なコンピューターでは処理できない複雑な問題を解決することを期待されているテクノロジーだ。

 古典コンピューターが「ビット」と呼ばれる「0か1」を最小単位として演算を行なうのに対し、量子コンピューターが扱う最小単位は「量子ビット(Qbit)」と呼ばれ、複数の量子ビットを組み合わせることで爆発的に高速な演算を行なうことができるのだ。

 だが、マイクロソフトの予想によると、気候変動の回復や食糧難への対処など、社会が直面する最も困難で難解な問題の解決に貢献するためには、少なくとも100万個の安定した量子ビットが必要となるが、最新の量子コンピューターが持つ量子ビット数は、年々増えているとは言えまだ1000個以下だ。

 そこで注目されているのが、古典コンピューターと量子コンピューターそれぞれの長所を生かしたハイブリッド技術だ。

Azureの将来は量子コンピューター、HPC、AIの3本柱

 量子コンピューターをフォールトトレランス(障害が発生しても機能を維持できる能力)な状態で稼働させるためには、高度な誤り訂正技術が必要であり、高度なソフトウェアと膨大な計算パワーが必要となる。

 マイクロソフトは、量子コンピューターをクラウド上のスーパーコンピューターと統合することで、毎秒10~100テラビットを超える量子と古典コンピューター間の帯域幅を扱うことができるようになったという。

 このようなスケールは、明らかにクラウドによってのみ可能になるものであり、Azureは、スケールの大きな量子コンピューティングを提供するという戦略において重要な実現要因であり差別要因でもある。

 Azure Quantumの主席PMを務めるFabrice Frachon氏は「量子コンピューティングは本質的にハイブリッドです。インパクトのある商用アプリケーションを大規模に解き放つ鍵は、HPC(高性能コンピューティング)やAIを含む古典的なコンピューティング機能と、クラウド上のスケーリングされた量子コンピューティングとの深い統合にあると考えられます」と同社の技術ブログ上で語っている、

 OpenAIとタッグを組んだAI技術、HPCオートメーション技術、そして量子コンピューティングはすべてAzureの一部として共同設計されており、この統合はマイクロソフトの描く未来に向けての一歩となる。

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