東京都は、日本マイクロソフトと「東京全体のDX推進に向けた連携・協力に関する協定」を締結した。
「東京のフィールドを活かした先進サービスの創出」、「クラウドインフラをベースとした行政DXの推進」、「都および区市町村職員の人材育成」、「国内外の行政機関などとのネットワーク構築」の4点に取り組むことになり、東京都では、「都政現場における業務改革の実践や、都民のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上に資するサービス創出に取り組むとともに、その成果を都内全体に波及させることを目指す」と説明した。
日本マイクロソフトは、東京都高度情報化推進システム(TAIMS)など、東京都のICT化の促進などにおいて連携してきた経緯がある。また、2023年1月から、都職員が、Microsoft 365やMicrosoft Teamsを利用できる環境が整い、スマホでも仕事ができるようになっている。
東京都の小池百合子知事は、「世界的なデジタル先進企業であるマイクロソフトがパートナーになることは心強い。早速、具体的な連携を開始する」と述べ、第1弾の取り組みとして、2023年2月から、公務職場でのデジタルツールの活用および実践の成果を共有する活動を開始。都庁全職員を対象としたMicrosoft Teamsの操作研修や、Microsoft 365の利活用研修を実施するという。
また、これらの利活用研修のコンテンツをアーカイブとして区市町村にも展開するほか、区市町村職員向け業務効率化オンラインプログラムも開始する。
さらに、ICT職の都職員を、日本マイクロソフトに1年間派遣し、専門的な研修を行うことになる。
「行政分野において圧倒的に不足しているのがデジタル人材であり、その育成に取り組む。職員一人ひとりがツールを使いこなし、その仕事のやり方そのものが組織の文化になるように変えていきたい」と小池都知事は語る。
その上で、「日本マイクロソフトが持つグローバル企業としての知見、クラウドやAIなどの先進技術を活用し、東京全体のDXを加速したい。東京で様々なチャレンジを行い、お互いの成果を出し合うことで、都民へのサービス向上や、経済的な活力を生み出すことにつなげたい」と述べた。
これを受けて、日本マイクロソフトの津坂美樹社長は、「東京都が目指すデジタルガバメントの実現に貢献する機会を得ることができた。この連携をさらに拡大して、東京都のパートナーとして、都全体のDX推進を支援し、行政業務の進化に包括的に取り組み、都民のクオリティ・オブ・ライフの向上に貢献する。東京都が目指す『未来の東京』戦略ビジョンを実現できるように支援していく」と述べた。
自らも都民であるとする津坂社長は、クラウドを活用した効率的でセキュアな行政サービスの構築や、デジタル人材の育成、海外の関係機関との意見交換など、東京都に対して、テクノロジーに留まらない多面的な支援を行う考えを示した。
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