日本音楽著作権協会(JASRAC)とグーグルは2月10日、YouTube上でのJASRAC管理楽曲の利用について新たな許諾契約を結んだと発表した。「Contents ID」を活用し、権利者へのより正確な使用料分配を目指す。
2008年から続くJASRACとグーグルの契約
JASRACは音楽著作権の管理を目的に設立された一般社団法人。管理する楽曲がライブや動画サイト等で使用された際、使用者に対して料金を徴収し、それを権利者へ分配することが主な業務だ。
YouTube上での楽曲利用については、2008年にJASRACとグーグルの間で初めて包括契約を締結。主な内容は本来動画投稿者が負担すべき楽曲使用料をグーグルがJASRACに支払うというもので、以降YouTubeではJASRAC管理楽曲を使った動画を合法的に投稿できるようになった。
なお、両者の契約はその後も随時更新され、今回は第5次契約となる。
Contents IDの活用で使用料の分配をより正確に
新しい許諾契約が従来と異なるのは、JASRACがYouTubeの「Contents ID」機能を積極的に活用する点だ。
Contents IDはグーグルが開発した動画内の使用楽曲を自動判別するシステム。複数の楽曲が含まれる動画も1曲ずつ判別し、権利者に楽曲の使用を知らせてくれる。
JASRACでは今後、このシステムを活用してより正確に楽曲の使用状況を把握。さらに透明性の高い形で権利者への楽曲使用料の分配を実現するとしている。
動画投稿者に「著作権の申し立て」が届く場合がある
Contents IDの導入により、今後は動画をYouTubeにアップロードすると、投稿者に対してJASRACが著作権の申し立てをしたという案内が届く場合がある。
JASRACによると、これは著作権侵害の申し立てではなく、YouTubeのシステムが楽曲の使用を検知して自動送信しているもの。JASRAC管理楽曲の使用を動画投稿者に知らせることが目的なので、案内が来ても動画を削除したり非公開にする必要はないという。
なお、案内が届いた動画は全て広告が自動挿入され、収益の一部がJASRAC経由で楽曲の権利者に支払われる。