電気通信大学などの共同研究チームは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の集団感染(クラスター)が発生した60カ所以上の医療福祉機関・事業所への立ち入り調査を実施。エアロゾル感染の要因として、従来から指摘されてきた「換気の悪い密閉空間」に加えて、「不適切な換気」があることを見い出した。
電気通信大学などの共同研究チームは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の集団感染(クラスター)が発生した60カ所以上の医療福祉機関・事業所への立ち入り調査を実施。エアロゾル感染の要因として、従来から指摘されてきた「換気の悪い密閉空間」に加えて、「不適切な換気」があることを見い出した。 研究チームは、エアロゾル感染のリスクを可視化するため、二酸化炭素センサーによる室内空気環境の管理に着目した。実際にクラスターが起こった現場で二酸化炭素センサーをネットワーク状に配置して再現実験を実施し、測定された時系列データを系統的に解析して換気回数やエアロゾルの伝搬経路を可視化。その結果、エアロゾル感染クラスターには少なくとも、「気流に乗ったエアロゾルによる風下汚染」と、「送風機・扇風機によるエアロゾルの飛散」の2つがあることを突き止めた。 同チームは、こうした不適切な換気によって、逆にエアロゾル感染が拡大し、クラスターの発生要因となる可能性があるとしており、対策として、送風機・扇風機の設置方法の見直しや、施設内での気流の確認を提言している。研究成果は、医学系学術誌のJMIRフォーメイティブ・リサーチ(JMIR Formative Research)および、自然科学系学術誌のサイエンティフィック・レポーツ(Scientific Reports)に掲載された。(中條)