タキシードとドレスが集うガラ・ディナー
ちなみに、今回の航海では2日目の夕方からドレスコードとして「Gala Evening Attire」が指定されています。Cunardが用意した日本語版ディリープログラムでは「男性はタキシード、ディナージャケット、スーツにネクタイ。女性はイブニング又はカクテルドレス、お着物などの正装」と説明されています。
うおおおお! 自分の結婚式以外で着ることはないと思っていたタキシードですよ。小心者の私はダークスーツにしてしまいましたが、男性船客のほとんどはタキシードに身を包んでいます。うーん、せっかくの機会だから着てみたかったなー。でも持っていないし。という場合でも船内のレンタルサービスも利用できます。
そんなタキシードやドレスを身にまとった文字通りの紳士淑女たちが、それぞれのダイニングに集まってガラ・ディナーが始まります。ガラ・ディナーも4種類の前菜、スープは2種類、主菜は5種類、デザートは5種類のメニューからそれぞれ1つを選びます。
前菜で提供されたPulled Beef Risottoは、煮込んで柔らかくなった塩漬け牛肉をほぐしたものとウズラのポーチドエッグをそれぞれ揚げたものに、ホースラディッシュと粒マスタードのソースをつけていただきます。
Prosciutto de Parmaは文字通り、パルマで作られたプロシュート(皮をつけたまま塩漬けにした豚もも肉を燻製にした生ハム)に、イチジクと熟成したバルサミコシロップのソースがかけられています。お皿にはイタリアでよく食されている、フェンネルビスケットも添えてありました。
Roasted Peppersはゆでて輪切りにした白カブをお皿に敷いて、その上にローストしたパプリカと赤キャベツを細切りにしたものを盛り付け。そして、コリアンダーを散らしてからピーナッツドレッシングを振りかけています。
スープはDuck Consomme。クリーンなスープで、シイタケのスライスがふんだんに添えられていました。
メインディッシュで用意されているメニューの1つがPoached Fillets of Lemon Sole。切り身を蒸し焼きにしたカレイにゆでた小エビ、アスパラガスとほうれん草を添えて、パセリとトリュフのソースでいただきます。
Hasselback Courgetteはズッキーニに細かい切れ目を入れて焼き上げる、スウェーデン由来の家庭料理です。これにバタービーンズとゴマのピューレ、ナッツのグラノーラを添えています。
Spring Lamb Rumpはラムのランプ肉の煮込みに、ポテトの裏ごしとベーコン、レタスを添えたもの。Spring Lambとは、春先に生まれて芽吹き始めた栄養価の高い牧草で育った子羊の肉を指します。ちょうど南半球では年末から春先にかけて出荷される、地元産の旬の食材を使った特別なメニューといえるでしょう。
Chicken Escalopeは鶏肉の薄切り肉を叩いて、さらに薄く伸ばしてフライにしたもの。これにセロリのピューレとからし菜を添えて、レモンのビネグレットを振りかけて味付けしていました。
クイーン・ヴィクトリアのジンは地中海の香りがした
さあ、食べた食べた。今宵もいい晩メシでした。今夜の“食後の1杯”はどこで楽しみましょうか。クイーン・エリザベスの船内では、正装した紳士淑女たちがQueens Roomでダンスパーティーに興じています。夕方のアフタヌーン・ティーを楽しんだQueens Roomは、本場英国のボールルームの内装にマッチしていて、舞踏会の会場としても利用されています。たぶんそちらが本来の利用目的かもしれません。
英国社交界の雰囲気を体験できる機会とあって、クイーン・エリザベスの航海では人気の高い催しですが、静かに過ごしたい筆者は、第3デッキにあるラウンジ「Midships Bar」に向かいます。ここではCunardオリジナルのジンを提供しているのです。
これらのジンはクイーン・エリザベスの運航会社であるキュナードと、英国エジンバラにあるサマーホール蒸溜所の協業で製造しています。なんでもサマーホール蒸溜所の共同創設者である、マーカス・ピッカリング氏の大叔父がキュナードで船長を務めていたという縁からとのこと。
現在キュナードが所有している3隻の客船、「クイーン・エリザベス」に「クイーン・ヴィクトリア」、「クイーン・メリー2」のそれぞれをイメージしたクラフトジンがあります。そして、それらをベースにしたオリジナルカクテルが楽しめます。
「クイーン・ヴィクトリア - 地中海の味わい」のジンをベースにしたカクテルは、ブラッドオレンジやレモンマートル、オリーブの葉など地中海を思わせるボタニカルに、トニックウォーターとドライアップル、オレンジ、タイムを組み合わせています。
いやー、今宵も呑んだ呑んだ酔った酔った。おやすみなさいー……。