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新コンセプトの開放型、音楽と一緒に浮遊感のあるランニングができる

ソニー、“オフイヤー”スタイルの新ワイヤレスヘッドセット「Float Run」を発表

2023年01月24日 10時52分更新

文● ASCII

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 ソニーは1月24日、新コンセプトの開放型ワイヤレスヘッドセット「Float Run」を発表した。価格はオープンプライスで、店頭での販売価格は2万円前後になる見込み。2月3日の発売を予定している。カラーはブラックの1色展開。

ランニングだけでなくテレワークも快適、開放的で浮遊感のあるサウンド

 「Off-Ear Headphones」として海外クラウドファンディングサイト「Indigogo」で出資を募っていた製品。すでに募集は終了し、出資者向けの出荷が完了している。募集開始からわずか5時間で目標の300台を達成。最終的には615台を出荷した。

Float Run

Float Run

 オープンイヤースタイルのヘッドホンで、耳を塞がずに使える点が特徴だ。

 スポーツで音楽を聴くヘッドホンはオープンイヤー型、もしくは外音取り込み機能を持つ密閉型があるが、基本的には耳穴に入れるスタイルが主流。最近では新しいカテゴリーとして骨伝導タイプも注目を集めている。しかし、Float Runはこのどちらとも違う、耳の前にスピーカー(ドライバー)を浮かせて置く構造にした。

Float Run

奥の白い部分に直径16mmのドライバーを収納されている。なお、音が出ない前方にもメッシュ状の穴が開いているが、ドライバーをスムーズに動かす空気抜きのためだという。

内部構造

 音が前方から鳴る形になるため、自然な定位感や音の広がりを感じられる。空気振動を利用した理由としてソニーは、通気性がよく快適かつ衛生的な装着感に加え、高まった鼓動やランニング中に着地の衝撃が体を伝わって耳にくる感覚を軽減できること、より良い音質が得られる点などを挙げている。すでに手に取ったユーザーからは、ランニング時の快適性を評価する意見が多く、思ったよりも音漏れが少ないといった声もあるという。ソニーとしてはこの反響を踏まえ、浮遊しながらランニングしている感覚をアピールした“Float Run”という名称を採用した。

Float Run

耳の後ろにバッテリーなどの重い部分を配置。左右は柔軟性の高い素材でつないでいる。表面のコートもべたつきがしにくそうだ。

 また、スポーツ利用に加えて、テレワークを中心とした自宅での利用もアピールしている。採用した直径16mmのドライバーは低域の豊かさに加え、高域の繊細さなども十分で、ワイドレンジの再生が可能。前方から音が鳴る仕組みのため、自然なステレオイメージが得られる点も特徴だという。耳から離した位置に置くとはいえ、かなり大きな音が出せ、映画や音楽に没頭できる点も特徴だ。

Float Run

マイクは耳の後ろに回すフックの部分にある。

 装着感では、側頭部の接触面を大きくとって圧力を分散。柔軟なバンドで頭の大きさや形状に合わせやすい。また、イヤホン自体の角度も自由に動くので頭の傾斜に合った自然な装着が可能になっている。電池部品は耳の後ろに置いて重量バランスを整えているのは設計上のこだわり。頭を動かしてもズレたりせず、安定して使える。

Float Run

リモコン部。物理ボタンでの操作にこだわっている。

 BluetoothのコーデックはSBCとAACが利用できる。本体はIPX4の防滴仕様。USB Type-C充電対応で、最大10時間の音楽再生が可能。10分で1時間の急速充電にも対応する。電源、音量、選曲などの操作は、誤操作をしにくい物理ボタンとした。サングラスや帽子との干渉も考慮しており、本体にはマイクも内蔵する。本体重量は33gと非常に軽い。

Float Run

プラスチックフリーの梱包

パッケージ内容

 製品パッケージにはUSBケーブルに加えて、キャリングポーチが付属。梱包はプラスチックフリーとなっている。

開放感がありワイドレンジなサウンド、骨伝導にはない新しい選択肢

 短時間であるが、Float Runを着けて街に出てみた。まず感じたのはイヤホンというよりはヘッドホンを使っているのに近い、広がりと解像感を兼ね備えた音の良さだ。骨伝導型の製品も高音質化が進んでいるが、低域の量感が少し足りない感じのものが多く、音量もかなり上げないといけないものが多い。また、音量を上げると本体がかなり激しく振動することになるので、人によっては少しモゾ痒く感じるかもしれない。

 一方、Float Runは30~50%程度の位置でも十分な音量が得られ、かつ低域の量感がしっかりしている。これだけ大きく鳴らせば音もだいぶ漏れるだろうと思ったが、かなり近づいても再生しているのが分からない。耳のそばで空気振動をさせているわけだが、ドライバーを耳のなるべく近い位置に置き、聴こえ方を最適化しているためだという。もちろん、体が触れるほど近い満員電車ではさすがに再生音が聞える(朝の満員電車は意外に静かという面もある)が、室内でも1mも離れれば気にならないし、騒音のある屋外であればなおさら音漏れを感じることは少ないだろう。

 デザイン面では、白のスピーカー部が、顔の横に出て若干目立つが、逆にほかにはない製品を使っているアピールになるかもしれない

Float Run

正面から見るとスピーカー部分の主張がある。

Float Run

側圧感なども適度で装着しやすい。メガネなどと干渉しないよう形状も工夫しているという。

 比較的静かな室内でもじっくり聞いてみた。静かな場所では音源のより細かな情報を聞き取ることができ、開放感や空間の広さといった特徴を実感できた。本体が軽く、音の鳴り方も自然なので、長時間ひとりで作業する際のお供にも良さそうだ。ただ、開放型とはいっても、音量を上げすぎれば周囲の音は聞こえにくくなるので、ほどほどの音量にするのがいいとは思う。

Float Run

左側に突起があり手触りで向きが把握できる。

 Hi-Fiオーディオに関心があるようなマニア層では、開放型ヘッドホンの人気が高いが、Float Runはコンパクトかつハンズフリーで使えるコンセプトながら、それに近いナチュラルなサウンドが得られる。スポーツや仕事の時間にながら聞きするデバイスとしてだけでなく、集中しつつ快適に音楽を楽しむデバイスとしても良質だろう。価格的にも骨伝導型の人気機種より少し高い程度なので、音の良いながら聞きイヤホンを探しているのであれば、一度試してみるのもよさそうだ。

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