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モジュール構造でまだ利用できる部品は再利用

デルがPC部品を再利用する「Concept Luna」を強化、ロボットアームによる選別を

2022年12月21日 15時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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 デル・テクノロジーズは、PCのサステナブルな設計を実現する「Concept Luna」の取り組みをさらに進化させた。新たな発表では、PCを廃棄する際に、まだ利用できる部品を選別して再利用する仕組みを構築。それを判別するために、産業用ロボットアームを使った装置を用意し、効率的なリサイクルが可能になるという。

ショート動画:https://youtube.com/shorts/82k0JZjsJUw?feature=shares
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ボタンをひとつ外すだけでキーボードを取り外せ、内部にアクセス

 Concept Lunaは、2021年12月に最初のコンセプトが発表され、ノートPCのマザーボードのサイズを70%削減したり、構成部品を20%削減したりといった設計により、CO2排出量の削減に貢献するほか、カーボンフットプリントでは50%を削減することを目指すものになっている。さらに、筐体内部にアクセスしやすいように基本設計を変更し、100個近いネジを使用していたものを、4個にまで減少し、内部の装置や部品は手だけで取り外すことができ、交換作業を容易にしている。

 今年のConcept Lunaでは、のモジュール設計をさらに改良し、接着剤やケーブルを不要にし、ネジを排除。これらの改良により、コンポーネントにさらにアクセスしやすくなり、ノートPCの修理と分解プロセスを大幅に簡素化し、再利用の機会を拡大するという。

 デル・テクノロジーズ エクスペリエンスイノベーショングループ ディスティングィッシュドエンジニアのトレバー・モリソン氏は「2021年12月の発表は、ノートPCのサステナビリティに集中したものであり、カーボンフットプリントでは50%を削減することを目指した」と振り返える。

キーボード部分は工具で簡単に外せる

 「今年の発表では、それ以上のことをやりたいと考え、様々な方法で素材に対する検討を開始した。低炭素アルミを用いて、耐久性を持たせ、再生プラスチックも活用している。さらに、昨年は4つのネジを使用していたが、今年はそれさえもなくした。ノートPCに用意されたボタンをひとつ押すとキーボードのロックが解除され、キーボードを取り外すことができる。さらに、内部にロックされているバッテリーやマザーボード、各種モジュールなども簡単に取り外しが可能である。液晶ディスプレーも簡単に取り外せる。これらの作業は、工具を使わずに行うことができる。またケーブルがないため、作業は容易である。これまでのノートPCは1時間程度をかけて、分解していたが、Concept Lunaでは、それぞれの部品を数秒で取りはずすことができ、全体の分解が完了する時間も数分にまで短縮している」とも述べた。

マイクロファクトリーで活躍する2台の産業用ロボットアーム

 今年のConcept Lunaでのもうひとつの進化は、マイクロファクトリーを通じて、より効率的に分解を行える提案を行ったことだ。そして、この仕組みは、部品の再利用を促進することにもつながるものとなっている。

 マイクロファクトリーは、AIの制御に基づいて動作する2台の産業用ロボットアームで構成。廃棄されるPCや修理するPCをセットすると、ロボットアームが動いてノートPCを分解し、使用できる部品と使用できない部品を自動的に判断。個々のシステム コンポーネントの正常性を診断し、部品が消耗していたり、ディスプレイに傷がついていたりすることを検知し、交換したり、リサイクルに回したりできる。

マザーボードの分解

 デル・テクノロジーズでは、「使用済みのPCを単純に廃棄するのではなく、それぞれの部品を選別し、使える部品については、2 回目、3回目の新たな活用のために収穫することができる仕組み」とマイクロファクトリーを定義。「同じ材料を次世代のラップトップやモニター、スマホに組み込んで再利用することで、無駄が発生しないで済む。毎年、世界で5700万トン以上の電子機器が廃棄されているが、これが劇的に減少する」と述べ、「組立と分解が容易になり、廃棄物と排出物を削減し、材料の再利用も容易になる。循環型経済を促進し、新しい原材料の必要性を減らすことができる」としている。

マザーボード部分のアップ

モジュラー設計で古くなった部品だけの交換へ

 また、「ユーザーの使用方法は様々であるため、すべてのコンポーネントが同時に寿命を迎えるわけではない。たとえば、自宅で仕事をしている人は、キーボードやモニターなどの外付けコンポーネントを使用することがあり、マザーボードは交換する必要があっても、ラップトップのキーボードとモニターはほとんど使用されていない場合もある。これは、クルマを維持する方法に似ており、新しいタイヤやブレーキが必要なときに、クルマ全体を捨てることはない」とした。

 デル・テクノロジーズでは、Concept Lunaによる取り組みが進化し、デバイスメーカーに広く採用されるようになると、多くのデバイスがモジュラー設計に移行すると予測。効率的にデバイスを分解できる環境の実現を促進できるとしている。

2本のアームで効率的に作業する

 「お客様や業界全体、エンジニア、サステナビリティの専門家、デザイナーたちにインスピレーションを与えながら、Concept Luna を進化させ続けていく。いまは、単なる概念に過ぎないが、この考え方は、循環型デザインの実践を通じて、ビジネスや社会にさらに大きな影響を与える長期的なビジョンである。革新を続け、設計の境界を押し広げ、フィードバックを求め、ビジネスモデルを再考していく」と、今後の進化に取り組む姿勢を示した。

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