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マンガでわかる! これで納得「確定申告」 第1回

第1回 マンガでわかる! これで納得「確定申告」 「副業」も確定申告しないとダメなの?

2022年12月27日 12時00分更新

文● Sixpence

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 帰ってきました! 多くの皆さまの熱っいご要望におこたえして、あべかよこリターンズ!です!!…いや、違うか……。

 それはさておき、前回の「マンガでわかる! 必ず得する「確定申告」」シリーズに続く、第2弾! 「マンガでわかる! これで納得「確定申告」」がスタートです。

 今回も、わたくし、あべかよこがまったく成長していない税知識をひけらかし、確定申告に関する素朴でシンプルな疑問をずばずばっと、宮原税理士に聞いていきますのでお楽しみに!

 さて、記念すべき第1回目のテーマは「副業」。最近増えてきましたよね、会社員をしながら副業をされてる方。副業OKになった会社が増えてるので、堂々とできることも要因だそうですよ。

 会社員だと年末調整とか会社がやってくれるので確定申告で税務署に行くとかないと思うんですが、副業してる場合はそうじゃないんでしょうか。

「20万円を超えるか」が確定申告のポイント

宮原税理士(以下、宮原)
 副業とは、本業以外に行う仕事のこと。本業とはその人の主な収入源となる仕事なので、会社員などが会社以外で行っているものが副業にあたります。

あべかよこ(以下、あべ)
 それでいうといろんな仕事がありますね。

宮原
 スーパーや飲食店などでのアルバイトやパート。それに、Webを使ったアフィリエイトやハンドメイド品の販売、ライティングやイラストなどのクラウドソーシング、株やFXなどへの投資、アパートや駐車場などの不動産の賃貸などなどたくさんあります。

あべ
 なるほど。ではズバリ聞きますよ! 副業でも確定申告は必要なんですか?

宮原
 生活費の足しにとやっている副業であったとしても、稼ぎがあるのですから所得税の確定申告は必要になってきます。アルバイトやパートなど、会社とは別でもらっている給与だと、その「収入」が年間20万円を超えると確定申告が必要です。その他の副業の場合は、その「所得」が年間20万円を超えると確定申告が必要です。

 もっと詳しく言うと、確定申告をしなくてはならないのは以下のようになります。
・給与が本業1か所の場合で、副業の「所得金額」が20万円を超えるとき
・給与が2か所以上の場合で、年末調整をされなかった給与(副業)の「収入金額」と、副業で給与以外のものの「所得金額」との合計が20万円を超えるとき

あべ
 ん? ちょっと待って。20万円を超えたらってとこはわかりましたが、アルバイトとかだと「収入」? その他は「所得」?

宮原
 「収入」とは、給与や売上など、支払いを受ける総額のこと。「所得」とは、収入金額から必要経費を差し引いた儲けのことです。

あべ
 そっか、漫画家だと用紙代とか資料用の書籍代とか経費にできるけど、副業の場合も経費にできるってことですね。

宮原
 そうです。ただし、所得税の確定申告が不要の場合でも、市区町村への住民税の申告は必要になるので注意してください。

「事業所得」か「雑所得」かが問題だ!

あべ
 副業で確定申告が必要になったら、実際にはどうすればいいんですか?

宮原
 本業と副業を合わせて確定申告します。本業の方の会社で年末調整をしていると思うので、源泉徴収票を必ずもらっておいてください。

 副業の方は、まずその収入の内容に応じて所得の種類を特定します。

あべ
 所得の種類?

宮原
 所得には10種類あります。アルバイトやパートだと「給与所得」です。他では、アパートなどの不動産賃貸は「不動産所得」、株の売買は「譲渡所得」などです。 ハンドメイド品の販売とかライティング、イラストといった副業は、小遣い稼ぎの範囲であれば「雑所得」です。しかし、場合によっては「事業所得」と認められることもあります。

あべ
 事業所得? 雑所得?…何か違うんですか?

宮原
 かなり違うんですよ。事業所得のほうが、税制上有利なことが多くあります。

あべ
 へえー、わたしは本業が漫画家なので、事業所得にしているんですが、副業でも事業所得にできるんですね。

宮原
 そうなんです。副業を事業所得にする方法については後述するとして、まず、事業所得と雑所得の違いについて説明しましょう。

あべ
 お願いします!

宮原
 事業所得ではできるけど、雑所得だとできないことが大きく3つあります。

 まず、副業として行っている事業が赤字になった場合、雑所得だと給与所得から赤字を差し引き(損益通算)、所得税を減らすといったことができません。また、その事業を手伝っている家族に対して給料を払っていた場合、一定額の控除が認められる「事業専従者控除」も受けられません。そして何よりも、雑所得だと青色申告をすることができないので、最大65万円の特別控除や赤字を3年間繰り越せる(純損失の繰越控除)などのメリットを受けることができないのです。

あべ
 おおー、これは大きな違いですね! じゃ、事業所得で確定申告すればいいんですね!?

宮原
 いや、そう簡単にはいかないのですよ。

事業規模や継続性などがないと事業所得にならない

宮原
 事業所得と認められるためには、「その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかにより判定する」という原則が大前提です。それが事業規模なのかどうか、独立・継続・反復して行われる仕事かどうかといったことから判断されます。

 休日だけやっているデリバリーの仕事とかアフィリエイトなどで収入が少額な場合は、ほぼ雑所得となると考えたほうがいいでしょう。

あべ
 すると、副業で漫画家をやってる場合だと、毎月連載があって、一定の収入があると事業所得でもいいんでしょうか。

宮原
 そうですね、継続して仕事をしているようであれば、事業所得として認められる可能性は高いです。事業所得になりそうだと思ったら、税務署に「個人事業の開業届」を出しておきましょう。ただし、開業届=事業所得にできるとは限らないので注意してください。

あべ
 うんうん、だいたいわかりましたよ! あと、注意することはありますか。

宮原
 大事なのは「帳簿付け」ですね。事業所得で申告する場合には帳簿が必要です。雑所得の場合は、帳簿付けの義務はありませんが、売上や仕入・経費などの集計に帳簿がある方が便利です。

 2022年10月に改正された所得税法基本通達では、帳簿書類を作成し、保存していれば、本業、副業に関係なく、原則として事業所得として認められることになりました。このことからも帳簿付けは必須と考えるといいでしょう。

 少し詳しくお話ししておきますと、次のような場合には、帳簿があっても個別判断によって雑所得とされることがあります。
①その所得の収入金額が僅少と認められる場合
副業の収入が例年(3年程度)300万円以下で、本業の収入の10%未満であるような場合があてはまります。
②その所得を得る活動に営利性が認められない場合
副業が例年赤字であるにもかかわらず、販促活動などの営業努力をしていないと認められるような場合があてはまります。

あべ  帳簿付けかー。結構めんどいけど、「やよいの白色申告 オンライン」か「やよいの青色申告 オンライン」を使えば楽ちんですよね!(ちゃっかり宣伝)

宮原
 まさにそのとおり(笑)。

宮原裕一(税理士)

宮原裕一税理士事務所代表税理士/弥生マイスター。弥生認定インストラクター。弥生会計を20年以上使い倒し、経理業務を効率化して経営に役立てるノウハウを確立。経営者のサポートメンバーとして会計事務所を営む一方、自身が運営する情報サイト「弥生マイスター」は全国の弥生ユーザーから好評を博している。
https://ymtax.jp/

あべかよこ

漫画家・イラストレーター。難しい内容をわかりやすく、笑いを加えて解説するマンガが得意。知らないことを調べて、マンガに描くことがライフワーク。資格試験用の解説マンガ、技術やサービスなどの取材マンガ、広告・PR用マンガなどの仕事多数。
https://aglet0.wixsite.com/abekayoko

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