富士通は、創薬や新材料開発で必要になる量子化学計算の問題に対し、量子コンピューティングとハイパフォーマンス・コンピューティング(以下、HPC)を自動で最適に組み合わせて高精度と高速性を両立して計算する計算技術を開発した。量子コンピューターやHPCのハードウェア層だけでなく、それらの上位層の各アルゴリズムまでを自動で組み合わせて最適計算を可能にする技術は世界初だという。
富士通は、創薬や新材料開発で必要になる量子化学計算の問題に対し、量子コンピューティングとハイパフォーマンス・コンピューティング(以下、HPC)を自動で最適に組み合わせて高精度と高速性を両立して計算する計算技術を開発した。量子コンピューターやHPCのハードウェア層だけでなく、それらの上位層の各アルゴリズムまでを自動で組み合わせて最適計算を可能にする技術は世界初だという。 同社は、量子化学で用いられる分子に対するアルゴリズムの収束の様子を分析することで、量子とHPCのどちらのアルゴリズムを用いると精度が高いか推定可能な技術を開発。さらに、独自開発の適応型人工知能(AI)技術を用いて分子構造とアルゴリズムの反復計算と計算時間の関係性を学習することで、計算量を事前に推定可能なAIモデルを構築し、精度の高い解を得るまでに必要な時間や費用を算出できるようにした。 利用者の解きたい量子化学計算の問題に応じた最適な計算手法を、AIが自動で組み合わせて選択するので、専門的な知識が無くとも、問題に対して最適な形で量子シミュレーターとHPC技術を利用できるという。ハードウェアは、39量子ビットの富士通製量子コンピュータシミュレーター(以下、量子シミュレータ)とスーパーコンピューター「富岳」のCPU「A64FX」を搭載した同社製HPCを用いた。(中條)