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IPA、DX未着手・途上企業のための「DX実践手引書 ITシステム構築編」完成版を公開

2022年10月27日 18時30分更新

文● ASCII

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DX実践手引書 ITシステム構築編 完成第1.0版

 IPA(情報処理推進機構)は10月26日、日本企業のDX推進をめざして2021年11月に公開した「DX実践手引書 ITシステム構築編」に、DX実践の課題を克服した事例やAPI活用事例、API全体管理やアジャイル開発といった技術要素の解説を追記し、完成版を公開した。

 IPAは2021年11月、DX未着手・途上企業の担当者を技術的側面から支援するため「DX実践手引書 ITシステム構築編」を公開し、DXを実現するためのITシステムとそれを構成する技術要素群の全体像を「スサノオ・フレームワーク」として提示した。その後も同フレームワークとクラウド、IoT、APIといった技術要素の関連を追記するなど改訂を続けてきた。今回、DXに先行して取り組んだ企業がぶつかった課題を克服した事例や、技術要素としてのAPI活用事例とAPI全体管理、アジャイル開発の解説を追記し、完成版を公開した。今回追記した主なポイントは以下の通り。

1)DX実践における課題と克服に向けた取り組み、結果を整理

 DXを先進的に進めている企業でも、取り組みや施策が最初から問題なく進んだわけではなく、試行錯誤を繰り返し、乗り越えたケースが多いことから、DX先進事例5社へのヒアリング調査を踏まえ、ぶつかった課題とそれを乗り越えるための取り組みおよび結果を整理した。

 具体的には、システム開発の課題や、社内変革の地盤固めに関する課題を克服した以下の事例を紹介している。例えば、作業の内容記録を手書きで倉庫保管していた製造業A社が、「外部リソースの活用」とそれによる「新しい開発手法の適用」によりDXを実現するまでの試行錯誤を1枚の図で表現した(図1)。

(1)試みはしたが業務の電子化が定着しなかった(製造業 A社)
(2-a)システム開発に技術的な壁が存在した(製造業 B社)
(2-b)システム開発に技術的な壁が存在した(非鉄金属業 C社)
(3)事業の変革を進めるための人材が不足していた(サービス業 D社)
(4)トランスフォーメーションへの道筋が見通せなかった (化学工業 E社)

図1 試行錯誤の取り組みと結果、要点のまとめ(製造業 A社の事例)

2)API活用企業の事例を紹介し、API全体を管理する考え方を整理

 APIを活用している国内企業4社の事例を「背景・課題・ニーズ」や「取り組みの工夫点とその効果」といった構成で紹介するとともに、4社の共通点とAPI管理ツール提供企業へのインタビュー結果をもとに「API全体を管理する考え方」を整理した(図2)。

 ここでは、多数のAPIを全体管理するための考え方を「技術的な観点」と「組織的な観点」に分けて整理している。また、スサノオ・フレームワークの8つの領域ごとに、APIを活用する際に考慮すべき内容もまとめている。

図2:API全体管理

3)アジャイル開発の概要、効果、考慮点を明示し、事例を「アジャイル開発の家」を用いて図示

 ビジネスの価値の最大化に向けて、顧客に価値のあるソフトウェアを早く、継続的に提供するためのアプローチであるアジャイル開発について、概要から効果、考慮点、先進事例まで詳述。アジャイル開発は価値観や原則であり、ソフトウェア開発手法であり、ビジネス手法でもある複雑な概念であるため、IPAではその概念構造を「アジャイル開発の家」として整理している。

 本書では、アジャイル開発の先進的な取り組み事例として、内製化にシフトした事例やリーン・スタートアップの事例など、4社についてそれぞれの特徴を「アジャイル開発の家」で整理している(図3)。

図3:宿泊業・飲食サービス業B社のアジャイルの家

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