独自に設計したドライバーを搭載
ハーフインイヤー型のイヤホンで高音質を実現するためには、カナル型よりも大きなドライバーが必要になる。しかし、ドライバーが大きくなりすぎると重くなり、装着時の快適性は失われる。その問題を解決するために、Nothingは汎用品を使わずに、自らドライバーを設計。高品質のマグネットと、特殊なコーティングを施したダイアフラム(振動板)を用いて、12.6mmサイズの業界最高水準のダイナミックドライバーを開発。低音域から高音域まで一貫した高音質を実現しているという。
なお、ハーフインイヤー型は低音が弱くなる傾向があるそうだが、独自のアルゴリズムによって、自動的にイコライザーが調整して、低音が失われないようになっているという。
イヤホンの形状にもこだわりが見られる。「最初は全体的な対称が取れたデザインを考えたが、見栄えはいいが、装着すると必ずしも快適とは言えなかった。そこで100人くらいにテストして、どういう形状で曲線が良いのかと、人間工学的に最も優れたデザインを模索しました」とのことだ。
Ear(1)のフィードバックを受けて
改善した機能は?
Ear(1)のユーザーからのフィードバックもEar(stick)の開発に活かされている。顕著な改善は2つあり、「まずコネクティビィティー(接続性)。ear(1)ではイヤホン下部の内側になったアンテナを、Ear(stick)ではステムの外側に配置し、より接続性が向上させました。電池持ちも改善し、Ear(stick)では連続7時間の再生を実現し、ケースで充電しながらの場合は最大29時間再生できます」。ちなみに連続通話時間は最大3時間で、ケース利用時は最大12時間となる。わずか10分の充電で、約2時間の再生ができることも利点だ。
Ear(1)もイヤホンに触れて操作するタッチコントロール機能を備えていたが、「かなり敏感だったため、誤って触れて音量が変わることがあった」(イワンジェリディス氏)という。Ear(stick)では、ステムを押すプレスコントロールで調整できるようになり、操作性が向上。どちらのイヤホンを押すと音量を小さくする、または大きくするかは、ユーザーが設定できる。
ハーフインイヤー型のEar(stick)には、ノイズキャンセリング機能は搭載しされていない。しかし、クリアな通話音声を実現する「Clear Voice Technology」を搭載。3つのマイクと最新のスマートアルゴリズムによって、音声を強調させて、風切り音や周囲の雑音を除去する仕組みだ。イワンジェリディス氏によると「Ear(1)に比べて3でデジベルほど減らすことができた」という。
Ear(1)はAndroid 5.1以降およびiOS 11以降を搭載するデバイスとペアリングして利用可能。Nothing Phone(1)とペアリングして使う場合はアプリ不要で、各種設定にアクセスしやすく、より快適に使えるように設定されている。他社のデバイスと接続して使うには「Nothing X」というアプリが必要だが、Nothing Phone(1)で使う場合と同じ機能を利用可能。また、AndroidデバイスとはFast Pair機能によって、簡単に接続できる。
斬新なデザインが目を引くNothing Ear(stick)だが、外見的なデザインよりもむしろ音楽を心地よく楽しむためのテクノロジーに注力しているようだ。