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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第157回

Knowlesのリファレンスイヤホン「KN2」、理想の周波数特性の実現を目指す

2022年10月24日 13時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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BA型ドライバーで高域を補い、密閉型イヤホンに最適なカーブに

 Knowlesのターゲットカーブとは、密閉型(カナル型)イヤホン隆盛の時代に合わせて、オーディオの世界で広く用いられている周波数カーブである「ハーマン・カーブ」を改良したものだ。

ハーマン・カーブとノウルズ・カーブの比較

 ハーマン・カーブは豊かな低域とやや抑えた高域を持つものになっており、聴感上好ましい再生が可能になるとされている。Knowlesでは密閉型イヤホンでは、高域の特性にさらに注目すべきだとして、より高域を持ち上げた「ノウルズ・カーブ」とも呼ぶべき特性曲線を提唱した。KnowlesはBillborad Hot 100の200曲を分析して、高音域の含有量を調査した。さらにそれを実証するためにダブルブラインドテストも実施したそうだ。

 「KN2」はこの考え方に則って開発したモデルだ。2ウェイのハイブリッド構成になっており、Knowlesが開発したBA型ドライバーをツィーターとして使用。ウーファーとしてダイナミック型ドライバーを搭載している。Knowlesはより強調された高域特性を実現するために、BA型ドライバーのツィーターが必要だとしているが、KN2でそれを披露したことになる。

分解図

 SoCはクアルコムの「QCC5144」を採用し、aptXとaptX Adaptiveに対応。さらにアクティブ・ノイズ・キャンセリング(ANC)機能を搭載する。ちなみにANC機能を実現するための内部マイク(分解図の紫色のパーツ)には、Knowles製のMEMSマイクが採用し、ノイズキャンセリング性能の高い音声通話アルゴリズムを可能にしているという。

Knowlesが考える理想の完全ワイヤレスイヤホン

 ちなみに「KN1」は今年6月に発表されたハイブリッドANCとMEMSマイクを採用したリファレンスモデルである。つまり、KN2はKN1の延長上にある「Knowlesが考える理想の完全ワイヤレスイヤホン」を実践したリファレンスモデルとも言えるだろう。

 Knowlesの副社長兼GMであるJon Kiachian氏はKN2について以下のように述べている。

 「TWS の性能に対する消費者の期待は高く、現在HDオーディオをワイヤレスで提供するためのテクノロジーは整備されつつあります。高級ブランドから有名ブランド、新規参入企業まであらゆる市場セグメントのOEMが活況を呈し、最高のサウンドのオーディオを備えた機能豊富なデバイスを提供するために競い合っています。
 Knowlesは単なるパーツメーカーの枠を超えてオーディオビジネスを熟知しています。KN2は75年以上にわたるオーディオにおける専門知識に基づいて設計されており、メーカーは製品設計のハードルなしに、ワイヤレスHDオーディオを一般に提供し、顧客が望む機能や性能を提供できるようにします」

 リファレンスモデルとは設計の見本だ。イヤホンメーカーは、KN2を手本にして、簡単に製品を市場投入できる。また、Knowlesにとってもノウルズ・カーブを世に知らしめるための基盤になるものだ。

 なお、KN2はDigi-KeyとMouserから今年度第4四半期から購入可能になるとされている。

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