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Windows Info 第350回

WindowsのPowerShellコマンドラインで複雑な条件でファイルを検索する

2022年10月23日 10時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII

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Get-ChildItemの出力

 ファイルシステムに対してGet-ChildItemを使うと、出力は「FileInfo」オブジェクト(ファイルの場合。.NETのSystem.IO.FileInfoがベース)、もしくは「DirectoryInfo」オブジェクト(同ディレクトリ。System.IO.DirectoryInfo)になる。これらは、ファイルやディレクトリに関する数多くの情報を持っている。前述のSelect-Objectは、オブジェクトのプロパティ名を指定して情報を取り出すためのものだ。

 PowerShellで、コマンドの出力がどのようなオブジェクトになっているのかを調べるには、一般に「Get-Member」(省略形はgm)を使う。Get-ChildItemで適当なディレクトリを表示させてGet-Memberコマンドを適用すればよい。このとき、オプションを指定してプロパティのみを表示させることができる。

Get-ChildItem C:\windows\notepad.exe | gm -MemberType Properties
Get-ChildItem -path C:\Windows -Directory | gm -MemberType Properties

 この2つのオブジェクトの主要なプロパティを以下の表に示す。

オブジェクトのプロパティを使った選択

 Get-ChildItemのオプションでは、ファイルの属性などによる選択は可能だったが、さらに複雑な条件でファイルを選択するような場合には、前記のオブジェクトのプロパティを使う。たとえば、ファイルのサイズや作成日時などによる選択だ。なお、fileinfo、directoryinfoには、アトリビュートなどのオブジェクトもあるため、これらを条件にする選択も可能だ。

 コマンドの出力オブジェクトを使って、出力を絞り込むには、Where-Objectコマンド(「Where」または「?」で略記可能)を使う。たとえば、1KB未満のテキストファイルを探すには、

dir c:\ -Recurse -Filter *.txt | Where-Object Length -lt 1kb

とする。「Where-Object」は「Where」と略してもいいし、「?」でもいい。「Length」(ファイルの長さ=ファイルサイズ)はタブ補完で入力できる。

 Get-ChildItemの出力なので、PowerShellは、プロパティ名が来ることを認識している。ここでは、Get-ChildItem(dir)側は簡単なものにしたが、オプションで対象を絞ることは可能だ。逆に言えば、Get-ChildItemの段階で対象を絞ったほうが、処理時間が短くなる。

 「-lt」は、左側が小さいことをを表すPowerShellの比較演算子である。残念ながらPowerShellでは比較に見慣れた「<」や「>=」などの記号が使えない。これらはリダイレクト演算子として使われているからだ(Linuxも事情は同じ)。そのため、以下の表のような記号を使って大小関係を表記する。

 詳細な情報はMSのサイトにある。

●比較演算子について
 https://learn.microsoft.com/ja-jp/powershell/module/microsoft.powershell.core/about/about_comparison_operators?view=powershell-5.1

 1時間以内に作成されたファイルを探すなら、

dir -Recurse -Filter *.txt | ? CreationTime -gt (Get-Date).AddHours(-1)

とする。CreationTimeなどの日時を表すプロパティにはDateTime型が使われている。このため、Get-Dateで得られるDateTimeオブジェクトと直接比較ができる。これらについては過去記事(「PowerShellで任意の日付を計算する」)を参照してほしい。

 特定の日付を持つファイルを探すような場合には、逆にCreationTimeのDateTime型を文字列に変換して比較したほうが簡単だ。

dir -Recurse | ? { $_.CreationTime.ToString() -like '2022/10/20 17:11*' }

 Where-Object(省略形は「?」)は、引数を波カッコでくくるとその中で式やコマンドを自由にかけるようになり、その最終結果で取り出すオブジェクトを選択する。

 この場合、パイプラインからの引数($_)がfileInfoオブジェクトになり、そのCreationTimeプロパティを“ToString()”メソッドで文字列に変換したものと、 '2022/10/20 17:11*' が似ているかどうか(like演算子)を判定させている。

 そのほか、ハードリンク(HardLink)やシンボリックリンク(SymbolicLink)、ジャンクション(Junction)を探すなら、

dir -Recurse | ? LinkType -eq hardlink

などとする。もうfsutilを使わなくてもよい。-eqは大文字小文字を無視するので、上記のように大文字小文字を正確に記述する必要はない。

 1回使い方を覚えれば、コマンドラインからのファイル検索は簡単。PowerShellでは、レジストリや環境変数、関数や変数などをファイルシステムのように扱うことができ、Get-ChildItemは、その基本になるコマンドだ。その使い方を覚えておいて損はない。

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