みなさんこんにちは。2024年の3月に迎える30周年に向けて、これまで実施してきましたさまざまなプロジェクトが、どのように誕生したかというプロセスを、ご紹介していく「ラー博にまつわるエトセトラ」。
前回の記事はこちら: スパイスの魔術師がつくるスパイス醬油ラーメン 伊豆「あまからや」
過去の連載はこちら:新横浜ラーメン博物館のウラ話
2022年7月より、過去にご出店いただいた約40店舗の銘店を2年間かけて、3週間のリレー形式で出店していただく「あの銘店をもう一度」がスタートしました。2ヶ月半が過ぎましたが、おかげさまで大変多くのお客様にお越しいただいております。
第6弾は岡山県笠岡市にある笠岡ラーメンの老舗で、現存する最古のお店「中華そば坂本」です!
出店期間は2022年10月14日(金)~11月3日(木)
「笠岡市」ってすぐに場所がわかる人は正直少ないと思います。
まずは笠岡市についてご紹介いたします。
笠岡市は広島県福山市と隣接し、岡山県南西端に位置する瀬戸内海沿岸の港町です。人口は約45,000人(令和4年7月現在)で風光明媚な大小31の島々からなる笠岡諸島を含む井笠地方の中核都市で、天然記念物カブトガニの生息地として有名です。世界で1つしかないカブトガニ博物館では展示はもちろん、研究も行われています。
地図で見たほうがわかりやすいかと思いますのでこちらをご覧ください。
こんなページがありました「1分でわかる笠岡のトリセツ」
正直1分ではわかりませんが、トリセツの中に「笠岡ラーメン」があります。
笠岡ラーメンは商工会議所が中心となり「ラーメンのまち笠岡全国展開プロジェクト推進委員会」が設立され、笠岡ラーメンマップの製作・配布等、笠岡ラーメンを広める取り組みをおこなっています。2009年秋には「ラーメンパラダイス笠岡」と題したラーメンイベントを開催し、他県からも多くの方が詰めかけました。
2010年当館に出店いただいたときにもこのラーメンマップを配布しました。そして今回も最新版のラーメンMAPを商工会議所の方からいただいておりますので、配布させていただきます。
その笠岡ラーメンの歴史は、戦前からすでに十数ケ所の食堂で中華そばとして出されていました。元々、笠岡には最大で300軒の養鶏場があったことや鶏肉専門の精肉店も多く、安価で大量に手に入れることができたことから「鶏」を使用した中華そばが誕生したと言われています。
中でも戦前に創業した「斉藤」(廃業)は、笠岡のラーメンに大きな影響を与え、独自のラーメン文化が誕生しました。この頃「笠岡の中華そばを食べるために汽車を下車する」と言われるくらいおいしいと評判だったそうです。
その後、現存する最古の笠岡ラーメンの店「中華そば 坂本」が1958(昭和33) 年に創業し、今も客足の途絶えない人気店となっています。
その「中華そば 坂本」で修業した「一久」さらに「一久」で修業した「いではら」等が笠岡ラーメンの味を守っています。また一方では、その他の店も笠岡ラーメンの味をアレンジ・進化させて笠岡ラーメンを盛り上げています。
「中華そば 坂本」の創業は、1958(昭和33)年。創業者の坂本勇さんは、鶏専門の精肉店を営んでいました。そのお店の隣で奥様が、中華そば屋さんを始めることとなり、中華そばを作り始めました。これが現存する最古の笠岡ラーメン観ての始まりです。鶏専門の精肉店を営んでいた経験を存分に活かし、勇さんはオリジナルでその味を生み出しました。現在は二代目 坂本 英喜さんがお店を守られています。
徹底解剖!!「中華そば坂本」の中華そば
「中華そば坂本」の最大の特徴は、タレ・スープ・チャーシュー脂とすべて「鶏」だけで作られていることです。しかもこの「鶏」は短期間で出荷する「若鶏」とは違い、のびのびと育てられた「親鶏」と決まっています。鶏ガラをじっくり煮込んだ淡麗(澄んだ)スープ、ブレンドした醤油で鶏肉を煮込んだタレ、その煮込んだ鶏肉を使った鶏チャーシュー、そして上質な鶏油と、まさに『純鶏』ラーメンなのです。
麺は笠岡市内の大半のお店が仕入れている丸新麺業の低加水(小麦に加える水が少なめ)中細ストレート麺。この麺でなければ一体感が味わえません。
具材は「かしわ(鶏チャーシュー)」、青ネギ、メンマといたってシンプル。「かしわ」は育成日数が1,000日以上の親鶏を使用。若鶏にはないコリコリとした触感と奥深い味わいが後を引きます。
そして青ネギ。笠岡ラーメンの特徴ともいえるネギはざっくりと斜めに切った青ネギがたっぷりのります。
混じりっ気なしの「とり中華そば」を是非お召し上がりください。
次回は第7弾 札幌「名人の味 爐(いろり)」の前に、新たなる企画について発表させていただきます。
お楽しみに!!
新横浜ラーメン博物館公式HP
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