「Quip」の技術をネイティブ統合、「デジタルHQ」ビジョンをさらに強化へ
Slackが新機能「Canvas」発表、チャンネル上で情報をキュレーション/共有
2022年09月21日 06時00分更新
Salesforce傘下のSlackは2022年9月20日(米国時間)、Salesforceの年次イベント「Dreamforce 2022」に合わせて、Slackの新機能「Slack Canvas」を発表(プレビューリリース)した。さまざまな情報を一カ所に集約/キュレーションしてチャンネルメンバー間で簡単に共有できる機能で、新入社員のオンボーディング、ブリーフィングの事前資料、FAQ作成、社内報など幅広い活用方法が考えられる。
Slack Canvasは、テキスト、画像、動画、ファイル、Slackのチャンネルやメッセージ、ワークフロー、外部サイトへのリンクなどをまとめたドキュメントを、チャンネルメンバー内に共有できる機能だ。通常、チャンネル内のメッセージは常に更新されるが、Canvasは共有するために蓄積しておきたい情報に向いている。
シーマン氏はCanvasを提供する狙いについて、「Slack内でたくさんのコミュニケーションが発生しており、リポジトリも増えている。リモートで働いているチームでは特に、特定のテーマについて情報を組織化しそれにアクセスできるようにすることで、効率化が図れる場面がある」と説明した。
シーマン氏は新入社員のオンボーディングを例に挙げた。やるべきことリスト、知っておくべき人のSlackアカウント、参加すべきチャンネル、PCやスマートフォンなど支給品リクエストのためのワークフローなどを貼り付けたCanvasを作成しておけば、新入社員は自らオンボーディングの作業や申請を進めることができる。
またSlackのワークフロー実行やチャンネルへの参加といったアクションも、Canvas上で完結するようになっている。Slackチャンネルの画面にCanvasを並べて表示させることが可能で、新入社員がCanvasを参照しながらメッセージで質問するといった作業も簡単にできるという。
さらに、Canvasでは特定の顧客情報やTableauのチャートなど、Salesforceのデータを表示することもできる。同様に、Jira、Figmaなどのデータも埋め込むことができるという。
Quipの技術をSlackに統合、「デジタルHQ」ビジョンをさらに強化へ
Canvasは、SlackがSalesforce傘下に入ったことで実現した機能だと言える。Salesforceでは2016年に生産性ツールのQuipを買収しており(現在Salesforce共同CEOを務めるブレット・テイラー氏は、Quipの共同創業者としてSalesforceに加わった)、Slackが2021年に傘下に入ったことで、SlackチームとQuipチームの密なコラボレーションが可能になった。
Quipはチームでコラボレーションしながら1つnドキュメントにさまざまな情報を加えていくことができるツールで、CanvasはQuipの一部の技術をSlackにネイティブ統合している、とシーマン氏は説明する。現在、QuipチームはSlackチームの下に入っており、CanvasではQuipでの学びが生かされているという。
Slack社内では、エグゼクティブブリーフィングでもCanvasを活用しており、顧客とのミーティング前に、アカウントチームが知っておくべき情報をまとめたCanvasを作成するといった使い方をしているという。
また、ITヘルプデスクによる活用も例に挙げた。個々のチャンネルをどのように使うかのポリシーを記したり、FAQ、ケース提出といったワークフローを組み込んだCanvasを作成すると便利だと紹介する。そのほかにもマーケティングキャンペーン、インシデントレポート、社内報など幅広い用途が考えられるとした。
なお独立した製品としてのQuipも、これまでどおりサポートされると述べた。
今回は、6月に発表したハドルミーティングの強化(ビデオ会議、リアクション、画面共有など)が一般提供開始されたことも発表されている。
Slackでは“デジタルHQ”ビジョンを掲げており、Canvasもハドルミーティングもそれを強化するものと位置づけられている。
シーマン氏によると、SlackではデジタルHQを実現するアプローチとして「(1)オフィスでは難しいがデジタルでは簡単にできることをもたらす」「(2)オフィスのいいところをデジタルHQにもたらす」「(3)デジタルHQでしか実現できない新しい機能をもたらす」の3つがあると考えており、Canvasは(3)、ハドルミーティングは(2)だと位置づけている。