これでもかとMADE IN U.S.A
ビルズカーキは、創業者の理想を実現すべくこだわったブランド。よって、縫製から何から、アメリカ製であることに誇りを持っているようです。
パンツの裏側に縫い付けられているタグには「MADE IN U.S.A OF IMPOTRTERD FABRICS」はもちろんのこと、「The American Original」と堂々と記されています。
ちなみに新品に付いているタグには、製品への絶対的な自信を示す「110% Guaranteed」が堂々と表記してあります。とにかく、我々のカーキはヨソのものとは違うんですよ、へのつっぱりはいらんですよ……という自信をひしひしと感じますね。
そして、タグの裏には、いかに我々がスピリットを持ってこのパンツを作っているのか……ということも記してあります。とにかく、「プライドを持って作っているから、あとはよろしく」という姿勢が伝わってこようというものです。2万4200円という価格にも納得できるのではないでしょうか。そうでもないですか?
履いてみるとフツーなんですけど、そこがよい
いざ履いてみると、股上もフロントポケットも深くて、あえて言えば、野暮ったい。腰回りの2プリーツが際立ちます。裾に向かってテーパードしてはいますが、太いですね。ミリタリーの出自を感じます。
静止画だと思ったより太くないように見えるかもしれませんが、歩いたり動いたりすると、「あ、あの人のパンツ、ちょっと太いわ」と思います。テーパードがかかっているので、いわゆる“ボンタン”のようには見えないですが。
ちなみに、筆者が購入したウエスト28インチというのは、ちょっと細めです。30インチぐらいがマイサイズなのですが、その分だけパンツ自体も太くなるため、さすがにルーズ過ぎるかなと思って、あえて28インチにしました。
ビルズカーキらしい、古き良きアメリカンな太さを楽しむなら、ウエストが30インチぐらいでもよかったのですが、個人的にベルトでぎゅっと縛って履くのが苦手ということもあり……。まあ、このあたりは好き好きです。
ちなみに、裾はフラシ(未処理)になっていますので、お直しに出して、裾上げをしてもらう必要があります。裾の処理も、シングルにするかダブルにするかなどを決めなくてはいけませんね。
もともとのデザインソースが軍のパンツだったこともあり、それにならって、ぐるりと1周ステッチが入る、「タタキ仕上げ」にしました。
当然、裾の下端からステッチまでの幅も決めなくてはいけません。一般的に、パンツ自体が太く、裾幅が広ければ、タタキの幅が大きいほうがよいとされています。今回は、ちょっと大きめの4mmにしました。
丈は、パンツにボリュームがあるので、あまりルーズにするより、軽く靴にかかるか、かからないかぐらいのほうがバランスがよいかと思いまして、それほど長くしていません。筆者が短足ということもありますが。
ちなみに、タタキ幅が4mmというのはそれなりに太いので、一折りするとダブル仕上げっぽくなります。靴(と、靴下)に合わせて、アレンジするのも楽しそうです。
説明すればするほど、「普通の(太い)チノパンじゃないか」と言われそうですし、実際のところ、その通りなんですよね。だけれども、その普通のチノパンにも、ストーリーがあり、素材やシルエットにこだわりがあると知ると、また、見る目が変わってくるのではないでしょうか。
そもそもASCII編集部の人たちも、「PCなんてぜんぶ同じに見える」「前のスマホと何が違うの?」「もうカメラはたくさん持ってるじゃん」とかなんとか言われながら、こだわっているわけで、そういう「いいのいいの、自分だけわかっていればいいの」というアイテム、すなわちビルズカーキは、まさにASCIIっぽいと思うわけです。そうでもないかな。
よく、ポロシャツにチノパンの組み合わせは「休日のお父さん」などと揶揄されます。でも、筆者も30代ですし、ゆるいシャツに、質実剛健なチノパンが似合っていれば、それで十分じゃないでしょうか。休日のお父さんの中にも、“わかっている”組み合わせの服を着ている人はいるわけですから。
まあ、このビルズカーキくらい太いと、「明らかにワイドな幅のパンツを履いているな」と思われるので、それなりに信念があって履いているのだろう、と感じてもらえそうではあります……。
モーダル小嶋
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。一人めし連載「モーダル小嶋のTOKYO男子めし」もよろしくお願い申し上げます。
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