【8月7日(日曜日)】
そしていよいよ決勝レース
定刻通り午前11時30分、ル・マン式により(コースサイドからマシンに駆け寄って乗り込む)、8時間に及ぶレースがスタート。4番グリッドスタートの♯5「F.C.C. TSR Honda France」ジョシュ・フックが真っ先に1コーナーへ。それに♯33「Team HRC」高橋巧、♯10「Kawasaki Racing Team Suzuka 8H」レオン・ハスラムと続く。オープニングラップの130R進入で♯10ハスラムが♯33高橋をパス。♯5フック、♯10ハスラム、♯33高橋のオーダーでオープニングラップを帰ってくる。
5番手走行中の♯17「Astemo Honda Dream SI Racing」作本輝介が2周目のスプーンカーブで転倒。これに4番手走行中の♯73「SDG Honda Racing」浦本修充が巻き込まれて転倒したことにより、セーフティーカーがコースに入る。
2大ワークスの後方で3番手の座を争った
「EWC」レギュラー参戦チーム
22番グリッドからスタートした♯1「Yoshimura SERT Motul」グレッグ・ブラックは2周目には4番手に急浮上。8周目にレースがリスタートすると、♯1ブラックが♯10ハスラム、♯5フック、♯33高橋を立て続けにパスして一気にトップに立つシーンもあった。その後、♯33高橋と♯10ハスラムが後続を引き離すことに成功すると、その後方で♯1ブラックと♯5フックの「EWC」レギュラー参戦チーム勢が3番手争いを展開。そこにスタートで大きく出遅れた♯7「YART-YAMAHA OFFICIAL TEAM EWC」ニッコロ・カネパが追い付くと、♯7カネパは14周目に♯5フックと♯1ブラックをパスして3番手となる。その間に♯33高橋、♯10ハスラムがそれぞれ単独トップ、単独2番手の座を築き、レースは膠着状態となる。
約1時間ごとに訪れるピットワークも緊張感漂う瞬間
鈴鹿8耐の見どころはレース中のトップ争いだけではない。ライダー交代、タイヤ交換、燃料補給などを行なうピットワークも順位を左右する大きな要因となる。ライダーがコースでコンマ何秒を詰めるのは難しく、無理をすれば転倒のリスクを抱えることにもなるが、メカニックやエンジニアたちがピットワークでライバルに1秒、2秒の差を詰めることはまだ可能。こういったことからもわかる通り、鈴鹿8耐はチームの総力戦なのだ。
時間が経過するほどに
ホンダワークスがトップの座を盤石なものに!
レースがスタートして2時間18分が経過する頃、デグナーカーブ二つ目で転倒し、出火したマシンがあったことにより、このレース2回目のセーフティカーが導入される。トップを走る♯33「Team HRC」イケル・レクオーナと2番手を走る♯10「Kawasaki Racing Team Suzuka 8H」アレックス・ロウズが別々のセーフティカーに先導されたことにより、その2台の間に約半周の差がつく。3時間50分弱が経過する頃、ロウズからライダーチェンジした♯10ジョナサン・レイが200Rシケインで転倒。これにより、♯33高橋のトップの座がさらに盤石なものとなる。レースが残り1時間を切った頃、3番手を走行する♯7「YART-YAMAHA OFFICIAL TEAM EWC」マービン・フリッツが他車と接触してスプーンカーブで転倒。3回目のセーフティカーが導入される。
全車を周回遅れにした
ホンダワークスの「Team HRC」が完全勝利!
例年通り、8時間におよぶレースの先にある栄光を賭け、各チームが最後まで白熱したバトルを披露した今シーズンの鈴鹿8耐。このレースは「スプリント耐久」と言われることもあり、8耐スペシャルと呼ばれるマシン開発を進めてきたホンダワークスの♯33「Team HRC」とカワサキワークスの♯10「Kawasaki Racing Team Suzuka 8H」の一騎打ちになるだろうと予想されたが、その前評判通り、2大ワークスが序盤からワンツー状態に。
フルモデルチェンジと同時に「R」が3つも付く車名となった「CBR1000RR-R」をベースとするワークスマシンを初めて鈴鹿8耐で走らせたホンダワークスが、事前テストから8耐ウィーク中の合同テスト、さらには公式予選、トップ10予選、そして決勝レースまで、パーフェクトウィンと言えるレースを披露した。ホンダは過去に27回もの優勝を飾り、1997年から2006年までは10連覇を成し遂げた歴史を持っている。そのホンダが2014年以来6大会ぶり、ホンダワークスとしては2008年以来12大会ぶりの優勝をさらったのだった。
さて、鈴鹿8耐を熱いモノにしてくれた「EWC」参戦チームだが、9月15~18日に最終戦のボルドール24時間(フランス)を控えている。今回、数々の見せ場を作ってくれた彼らのさらなる活躍にも注目したい。また、残念ながらスズキは今シーズン限りで「MotoGP」および「EWC」から撤退することを正式発表している。
クルマもバイクも耐久レースは数々のドラマが見られるので、興味を持ったらぜひ足を運んでいただきたい。