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広視野動画撮影で赤色矮星のフレアを検出=共同研究チーム

2022年08月10日 17時30分更新

文● MIT Technology Review Japan

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上海交通大学、東北大学、東京大学の共同研究チームは、約5700個の赤色矮星に対し、東京大学木曽シュミット105センチメートル望遠鏡に搭載された広視野動画カメラ「Tomo-e Gozen(トモエゴゼン)」を用いた観測で、これまで観測が困難であった赤色矮星からの数10秒以下の短時間に激しく増光するフレアを合計22件検出した。

上海交通大学、東北大学、東京大学の共同研究チームは、約5700個の赤色矮星に対し、東京大学木曽シュミット105センチメートル望遠鏡に搭載された広視野動画カメラ「Tomo-e Gozen(トモエゴゼン)」を用いた観測で、これまで観測が困難であった赤色矮星からの数10秒以下の短時間に激しく増光するフレアを合計22件検出した。 恒星表面で発生する突発的な爆発現象である恒星フレアは、発生するタイミングや強度を前もって予想することが難しいことから、その瞬間をとらえることが困難とされている。研究チームは、秒刻みで広視野の動画撮像が可能なトモエゴゼンの性能を恒星フレアの探索に活かせると着想。2019年から2020年にトモエゴゼンで取得したデータのうち、フレア探索に適した40時間分の観測データを解析し、総計約5700個の赤色矮星の明るさの短時間変動を調べた。その結果、10秒の間に星の明るさがおよそ2倍になる現象など、22件の短時間かつ強力なフレアの検出に成功した。増光時間の最短は6秒であった。 研究チームは今回の高速観測で捉えた光度変動により、恒星フレアは星表面の磁場によるエネルギーの解放により駆動されるという従来のシナリオと観測が矛盾ないことを示した。さらに、短時間に増光する強力なフレアが活動的な赤色矮星において平均で1日に1回程度発生することを突き止めた。今回検出されたような短時間に増光する強力なフレアは、赤色矮星まわりの太陽系外惑星における生命居住可能性の議論にも影響を及ぼし得るという。 研究成果は、日本天文学会の欧文論文誌(Publications of the Astronomical Society of Japan)に2022年8月8日付けで掲載された

(中條)

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