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急激に超高輝度となる天体の発生の瞬間を初めて観測=東大など

2022年07月21日 06時35分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学と京都大学、国立天文台の国際共同研究チームは、超高輝度超新星と同等の明るさを持ち、より急速に増光する天体を、発生直後に観測することに成功した。非常に明るくかつ短時間でその明るさを変える、特異な突発天体である「FBUT(Fast Blue Ultraluminous Transient)天体」の発生の瞬間を捉えたのは世界初だという。

東京大学と京都大学、国立天文台の国際共同研究チームは、超高輝度超新星と同等の明るさを持ち、より急速に増光する天体を、発生直後に観測することに成功した。非常に明るくかつ短時間でその明るさを変える、特異な突発天体である「FBUT(Fast Blue Ultraluminous Transient)天体」の発生の瞬間を捉えたのは世界初だという。 研究チームは、ハワイにある8.2メートル「すばる望遠鏡」を用いた2020年12月の「ミューセズ(MUSSES:MUltiband Subaru Survey for Early-phase Supernovae)」プロジェクトの連続観測で、20個の急速に増光する突発天体を発見。そのうちの1つである「MUSSES2020J」は、12月11日にまだ増光する前の段階で発見され、観測中に急速に明るさを増していった。さらに、後の追跡観測により、同天体が非常に大きな赤方偏移(1.063)を持ち、通常の超新星の約50倍の明るさを持つFBUT天体であったことが明らかになった(赤方偏移が1の天体までの距離は約75億光年とされる)。 FBUT天体の起源としては、大質量ブラックホールの潮汐力により恒星が破壊される現象や脈動型電子対生成超新星の可能性などが考えられるという。FBUT天体はあまりにも急激に明るくなるため、その初期の急増光を捉えることは非常に困難だった。今回のような広視野の時間変化を含む測定は、種々の突発天体の形成・進化の研究など新たな手段を提供することになると期待される。 今回の成果を記述した研究論文は、2022年7月12日付けでアストロフィジカル・ジャーナル・レターズ(Astrophysical Journal Letters)」のオンライン版に掲載された

(中條)

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