東京大学の研究チームは、ペロブスカイト太陽電池とCIGS太陽電池を組み合わせた「ペロブスカイト/CIGSタンデム太陽電池」として世界最高性能となる変換効率26.2%を達成した。タンデム太陽電池のトップセルに使う半透明ペロブスカイト太陽電池の性能を劇的に高め、変換効率19.5%を実現できたことが要因だという。
東京大学の研究チームは、ペロブスカイト太陽電池とCIGS太陽電池を組み合わせた「ペロブスカイト/CIGSタンデム太陽電池」として世界最高性能となる変換効率26.2%を達成した。タンデム太陽電池のトップセルに使う半透明ペロブスカイト太陽電池の性能を劇的に高め、変換効率19.5%を実現できたことが要因だという。 ペロブスカイト太陽電池を、タンデム太陽電池に用いるためには、従来の金属電極を、ITO(酸化インジウムスズ)などの透明導電層に置き換える必要がある。今回の研究では、ペロブスカイト層にダメージを与えずに高性能なITOを積層する手法を開発。高い性能を維持した状態で半透明なペロブスカイト太陽電池を作成することに成功し、半透明ペロブスカイト太陽電池としては世界最高性能となる変換効率19.5%を達成した。さらに、半透明ペロブスカイト太陽電池トップセルに、CIGS太陽電池ボトムセルを物理的に積み重ねることで、26.2%の変換効率を有するタンデム太陽電池を実現した。 ペロブスカイト太陽電池は、塗布製造できる安価な太陽電池でありながら、単結晶シリコン太陽電池に匹敵する高い変換効率を示し、軽量フィルム基板にも形成できることから次世代の高性能な軽量フレキシブル太陽電池として世界中で開発競争が進められている。研究チームによると、今回の研究を発展させることで、30%を超える高い変換効率を示す軽量フレキシブル太陽電池を実現できる可能性があり、ビル壁面、電動航空機、ドローンなどへの利用が期待されるという。 研究成果は、米化学会の応用エネルギーマテリアルズ(ACS Applied Energy Materials)のオンライン版に、7月8日付けで掲載された。(中條)