豊洲のまちづくりにもバカンが使われている
── ここ豊洲ではどんな取り組みをしているのか教えていただけますか?
メブクス豊洲にAirKnockが入っているというのもありますが、豊洲スマートシティプロジェクトともご一緒させていただいています。清水建設さんと一緒になって「豊洲の街を見える化しよう」ということで、飲食店とかも含めて空き状況の可視化の取り組みをしていたり。
── えっ、飲食の可視化もやってるんですか?
はい。お店に「リアルタイムに混雑がわかる」仕組みや、「オンラインから遠隔で並べる」ような仕組みを入れています。
── そこはめちゃくちゃチャンスがありそうですね。たとえばスタバも事前注文して並ばなくてよいとかあるじゃないですか。海外なんかは、めちゃ複雑な注文をしますからね。
先程あげた混雑を可視化したり、並んだりできるサービスに加え、カフェなどの座席を無人で押さえられる仕組みも作っています。モバイルオーダーをしても店に行って座れなかったら意味がないので、座席が空いているかどうかを行く直前にスマホなどから見て、短時間だけ取り置きできるという。
── へえーっ。席が空いているかどうかは画像認識で見るんですか?
今は座席にタブレットを置いていて、ユーザーがタブレットを操作して座席管理する仕組みです。お客さんがスマホから空いているかを確認して、空いていたらピッと取り置きする。そうすると座席に置かれたタブレットが20分間だけ「取り置き中」の表示になるんです(※註:店舗によって時間は異なるそうです)。
── なるほど、一定時間だけ取り置きになる。
その間にチェックインすると利用が始まる形です。これが予約よりいいのは、カフェのように突発的に行くものに関して時間を選ばなくていいということ。それに予約の場合、予定より早く席を立ったら、本当はその時間は使えるはずですよね。予約って実は座席の回転効率が悪いんです。多くの人たちに席を楽しんでもらおうとすると、リアルタイムでさばいていった方がいい。そこに特化しているのが私たちの仕組みです。さらに取り置きに対して課金もできるようになっているので、座席に対して価値を提供できるようになっています。
── お金を払って座席を取り置きするわけですか。
これは逆に、課金しなくてもいい仕組みも作れるんです。何かというとバリアフリーとかと同じで、車椅子の方とか、ご年配の方とか、移動に時間がかかる人たちに対しては無償で優先的に席を提供するとか、そういう仕組みができたらいいなと。
── 誰かがお金を出すとかもありかもしれないですね。欧米で視覚障害者をスマートグラスでサポートするAiraというサービスがあるんです。それは本来有料なんですが、空港や自治体施設などでは関係する会社や組織がお金を出して無料で使えるようにしているそうなんですよ。
将来的にはそういうこともありうるかもしれないですね。あと豊島区や世田谷区など全国200以上の自治体で、避難所の空き状況なども可視化しています。
── 極論すると人流すべてを可視化ということになりそうな気もしますね。清水建設さんのDX-Coreとはどんな形で連携しているんですか?
DX-Coreがハブの役割を担っているので、そこにAPIを通じてデータを提供しています。
── 「今月は長いやつが多いぞ」って見られたりとか?
リアルタイムのトイレ利用状況をテナントのアプリに提供するとか、今後はそういうことも考えられるようになるかなと思います。データをもとに、たとえばトイレの男女比はこれぐらいだったらいいんじゃないかとか、今後の施工に活かせる可能性もあるんじゃないかなと。
── 施設の設計にも関わってくると。
データをもとに、オフィスやカフェで「動線を良くしたらもっと使われるはず」ということが考えられるようになるんですね。たとえばカフェの仕組みを応用して、フリーアドレスオフィスのコミュニケーション課題を解決する仕組みをNTTさんと共同で作っていたりもします。数ヵ月に1回の配置変更をすべてデータでトラッキングできることが課題に解決につながっていて。
── ゼネコンが使えるデータがDX-Coreにたまっていくと。
私たちにできるのは、混雑という切り口をフックに、施設の使われ方をデータとして提供することです。それが次の施設を作るときの企画とか、まちづくりに還元できるといった広がりはあると思いますね。
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