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ポストコロナのインターネット社会もふまえた「その先」とは? チップ供給不足問題についても尋ねた

「Wi-Fi 6/7」や「AV over IP」に注力する理由、ネットギアCEOに聞く

2022年06月24日 11時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 「Orbi/Orbi Pro」や「NETGEAR Insight」「NIGHTHAWK」など、先進的なネットワーク製品を提供してきたネットギア。今年の「Interop Tokyo 2022」ブースでも、国内発売前のWi-Fi 6E+クアッドバンドメッシュ搭載のOrbi最新モデル、AV over IP向けスイッチ製品を中心としたバーチャルスタジオの提案など、オフィスや家庭における「数年後」のネットワーク利用シーンを見据えた展示が行われていた。

 今回のInteropに合わせ、同社 会長兼CEOのパトリック・ロー氏が2年半ぶりに来日したので、これからのネットギアがテーマとすること、米国や欧州など海外市場における最新ユースケース、さらに製造業を悩ませるチップ供給の停滞問題に帯する見解などを、ざっくばらんにインタビューした。

ネットギア 会長兼CEOのパトリック・ロー(Patrick C.S. Lo)氏。「コロナ前は年に数回来日していたが、今回は2年半ぶりの来日」だと語る

あらためて「いま」高速なインターネット接続に注力する理由

――まず、現在のネットギアが「テーマ」と考えているものは何でしょうか。

ロー氏:ネットギアはコンシューマー(ホーム)、エンタープライズ(ビジネス)という2つの領域でビジネスを展開している。

 コンシューマー領域では「Wi-Fi 6/7やミリ波5Gを活用した、より高速なインターネット接続」が大きなテーマだ。ネットギアではすでにWi-Fi 6や6Eの製品を提供開始しており、来年にはWi-Fi 7も登場するだろう。また屋外では5Gサービスもスタートした。米国ではすでにミリ波の(超高速な)5Gサービスも提供されており、日本、アジア、ヨーロッパの各地域でも順次始まっていくはずだ。

Interopのネットギアブース展示より。Orbiの展示では、すでに次世代を意識した「Wi-Fi 7+ペンタバンドメッシュ」という言葉も見られた

最新モデルの「Orbi WiFi 6E AXE11000」(日本未発売)は10GインターネットポートやマルチギガLANポートを搭載

 エンタープライズ領域のテーマは大きく2つある。「Wi-Fi 5からWi-Fi 6への移行」と「HDMIからIP(AV over IP)への映像/音声の移行」だ。

 Wi-Fi 5から6への移行については、世界中でインターネット接続スピードが上がっていることが背景だ。たとえば米国では、企業は5Gbpsのインターネット回線をとても安く、月額300ドルほどで利用できる。それを活用しようと考えると(LANでも)Wi-Fi 6のスピードが必要になる。

 もうひとつの理由は、COVID-19(新型コロナウイルス)のパンデミック以後、多くの企業が業務用のノートPCを最新のものに買い換えたというものだ。最新のチップセットを搭載したそれらのPCは、最大160MHzのチャネル帯域幅を持つWi-Fi 6に対応している。それらのPCに合わせて、社内のWi-Fiアップグレードにも注目が集まっている。

――どちらの領域でも「インターネット接続スピードの高速化」が大きなテーマなんですね。しかし、なぜ「いま」なのでしょうか。

ロー氏:米国に関して言えば、COVID以後、バイデン大統領がインターネットの高速化を強く後押ししているという背景がある。

 COVIDによって、多くの人が在宅勤務をはじめとしてあらゆることを自宅でするようになった。それにより、企業はインターネットを介して顧客とより密接にやり取りできるようになっている。ただし、そうして市場競争力を高めるためには、企業にはより良いインターネット環境が必要だ。

 そこでバイデン政権は、100億ドル規模の(ブロードバンドサービス推進の)基金から補助金を通信事業者に投入して、全米のインターネット接続スピードを高速化しようとしている。インターネットスピードが高速化すれば、Wi-Fi 6や7にアップグレードしようと思うだろう。企業でも、より多くのインターネット商取引を行って、ビジネスを成長させたいはずだ。

 さらに言えば、COVIDを通じて米国経済には構造変化も起きている。COVIDによって一時的に経済が停滞し、職を失った人が多く出た。そして現在は景気が戻ってきたが、失業した彼ら(の一部)は元の仕事に戻ろうとは考えず、自分自身で新たなビジネスを始めようと考える。そして、新たなビジネスを立ち上げるのにうってつけなのが、インターネットの世界だ。

 だからこそ人々はいま、高速なインターネット接続サービスを必要としているし、ネットギアのWi-Fi 6アクセスポイントが売れているのにも、そうした背景がある。

――在宅勤務、あるいは“在宅起業”をする人が増えれば、ホームネットワークもオフィスネットワークと変わらず重要になり、同等の信頼性や機能性が必要になりそうです。

ロー氏:そのとおりだ。かつてのように、「コンシューマー」と「エンタープライズ」のネットワークをはっきり区別することは難しくなっている。両者は融合(Fusion)していくと言ってもよいだろう。

 古い商売をしてきた小規模な事業者も変わり始めている。たとえば、COVIDによって店舗に客が来なくなったギフトショップは、代わりにオンラインで販売をスタートしなければならなかった。そこでインターネットを使い始めた。

 これからCOVIDが終息して、店舗に客が戻ってきても、やはりインターネット接続は必要とされるだろう。客へのサービスとしてフリーWi-Fiを設置しよう、しかも高速なスピードのものを、と考えるからだ。客は最新のスマートフォンを持っているので、Wi-Fi 5ではなくWi-Fi 6のアクセスポイントを導入するのがいいだろう、といった具合だ。

――そうした動きを支えるために、ネットギアではどのような戦略を持っていますか。

ロー氏:まずビジネス向けには、高速なWi-Fi環境を低コストで提供できる製品を提供している。ここでは特に、セットアップ(導入)や管理のプロセスを簡素化することに注力している。「Orbi Proシリーズ」や「NETGEAR Insight」対応アクセスポイントならば簡単にセットアップが済む。自分自身でWi-Fiをセットアップ、管理できればコストを抑えられる。

 基本的な方向性はホーム向け製品でも同じであり、同じようにパワフルで使いやすいネットワーク製品を提供する。ただし、一般家庭や在宅勤務環境では、オフィス向けほどたくさんのデバイス台数を接続する必要はない。また、VLANやVPNといったネットワーク機能も必要ない。こうした違いに応じて、家庭向け「Orbiシリーズ」などのラインアップも揃えている。ユーザーは必要に応じて選択できるわけだ。

ネットワークを簡単に扱えるクラウド管理サービス「NETGEAR Insight」

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