新型コロナによりスポーツの楽しみ方は従来と大きく変化した。そのため、これまでとは異なる「新しいスポーツとしての在り方」が求められている。そのアプローチのひとつがスクリーンやセンサーにシミュレーションゲームシステムを掛け合わせた、室内でも楽しめるデジタルスポーツ。エアデジタル株式会社が2022年4月から展開する「スポーツ60&スマート」も、そうしたデジタルスポーツが楽しめるとして注目を集めている。
体験型競技マシンが楽しめるスポーツクラブ
「スポーツ60&スマート」は、IT技術、機械、電子工学などの先端技術にスポーツと大型スクリーンを掛け合わせた「体験型スポーツマシン」で遊ぶことができる施設。2022年4月に、埼玉県久喜市にある大型商業施設「アリオ鷲宮」に200坪程度となる第1号店舗がオープン予定で、スポーツ競技5種目、全10種ものデジタルを活用したスポーツ対戦が屋内で楽しめる形になっている。
野球、サッカー、アーチェリー、スキー、サイクリングといったスポーツマシンを提供予定。ソロプレイまたは1~4人対戦までをオープン当初はカバーし、利用動向や反響を踏まえ、コンテンツバリエーションの変更や対戦システム、オペレーションシステムのアップデートを行っていくとのこと。
将来的には、「大阪のプレーヤーが投げて東京のバッターが打つ」、言い換えると、離れた場所にいるプレーヤー同士が実際に体を動かして対戦するといったeスポーツとしての体裁を整える事が目標としている。
デジタルスポーツ以外にも、ゲーミングパソコンを多数解放した「E-Sports フィールド」コーナーも用意される。また、子供向けには「デジタルプールフィールド」と称した、プロジェクションマッピングとボールプールを組み合わせたスペースも設置される予定だ。
利用料金については、税込で「60分まで1000円」、「90分まで2000円」、「1日無制限で3000円」といった時間制になる予定とのこと。ゲームそれぞれで個別に料金が発生する仕組みはないため、時間内であれば、野球をしてサッカーをしてボールプールで寝て……と、思う存分スポーツを楽しめるようになっている。
家族や友達同士で手軽に遊べる
エアデジタルは、以前は「スクリーン野球」といった、屋内で楽しめる体感型デジタルスポーツマシンの企画販売、ゲームシステム開発、eスポーツ施設開発を手掛けていた。現在はそのノウハウを生かし、スクリーン型スポーツマシンを使った施設開発や、海外デジタルスポーツ製品輸入販売と日本国内向けにカルチャライズ調整するといった業務を行っている。
前田相伯代表によると、「法人を相手とするデジタルスポーツマシン販売はコロナにより壊滅的だった」という。しかし、その難しい状況が、販路開拓に悩む優良な海外デジタルスポーツ企業との事業提携、日本では見られない尖ったデジタルスポーツコンテンツの国内販売ライセンス取得を可能にした。結果的に、デジタルスポーツマシンのバリエーションにおいては現時点で30種ほどと、恐らく国内最大の取扱い数に至り、「スポーツ60&スマート」を展開するベースになったという。
このコロナの過程で考えていたことは、「とにかく法人向け事業ではなく、自分たちで一般客を相手にリアル店舗サービスを提供する。そこでさまざまなデジタルスポーツを直接触れる機会を設け、楽しんでもらうことで、商業施設の店子間での差別化が際立ち、かつてないコンテンツの魅力を最大限アピールできる機会になるはずと考えた」と話す。
今回の店舗展開において、前田代表が重視しているのが「従来とは異なる楽しみ方」だ。野球やサッカーなど、普段は屋外で楽しむスポーツがインドアで楽しめることはもちろん、「E-Sportsフィールド」にも家族、友達同士で気軽に楽しめる工夫が施されている。
例えばレイアウト。一般的なeスポーツが楽しめる施設は、ゲーミングチェアが並ぶスタイリッシュなレイアウトが多い。しかし、「スポーツ60&スマート」では、靴下着用の専用フロアにローテーブル置き、そこにモニターを配する形。ソファに座ったり、寝転んだりと楽な姿勢で遊べるようになっている。