「まるごとバッファロー」で製品と支援体制を強化 2022年度は企業もWi-Fi 6普及へ
人手不足、テレワークやBCPなどの企業の課題を解決 バッファローが法人事業を強化
2022年06月06日 11時00分更新
人手不足への対応のため、リモート管理やバックアップサービスを充実
総務省によると2030年度には最大で79万人のIT人材が不足すると予測。デジタル田園都市構想では、230万人のデジタル人材不足が生まれると試算している。石丸氏は「製品を提供しているだけでは、中小企業への導入が進まない。サービスを含めて提供することで、中小企業のDXを促進できる」と指摘する。
TeraStationでは、万が一、ハードディスクが故障した際に、データを復旧するサービスを、2017年からスタート。また、AirStation Proのネットワークが正しく動作するように監視したり、トラブルが発生した際に解決を支援するクラウドサービスのキキNaviを2019年から無償で提供している。製品に加えて、こうしたサービスを提供している点が、法人向け製品の特徴であることを強調した。
人手不足および人材不足への対応では、すでに発売しているリモート管理サービス「キキNavi」を紹介した。NASや無線アクセスポイント、スマートスイッチを対象に、機器の保守、管理を簡素化する無料サービスであり、稼働状況の把握や共有、遠隔からの簡易操作、設定情報の保存などが行える。約5200社が利用、登録台数は約2万5000台に達するという。
監視支援ツールの「法人ポータル」は、2020年9月から提供しているクラウドサービスで、「販売パートナーや情報システム部門が、社内の機器を管理するための台帳をクラウドで管理するサービス」と位置づける。保守契約期間の管理や納入した機器の管理などが可能であり、登録台数は約12万7000台に達しているという。
バッファロー 事業本部 法人マーケティング部の富山強部長は、「キキNaviの導入が進んだことで、パートナーによるサポートの品質向上や効率化が図れている。エラー詳細と現地訪問の対応要否が事前に判断できたり、簡易操作によってリモートでの機器再起動やファームウェアのアップデートができたりするようになるため、販売パートナーでは少人数での顧客対応が可能になり、機器管理工数を削減し、人手不足の解消につながっている」という。
新たなサービスとして「キキNavi クラウドゼロタッチ」を、今年冬に提供開始することを発表した。販売パートナーが行っていたユーザーごとの機器設定を、ユーザーが開梱して、クラウドに接続するだけで、キキNaviを通じた設定を自動的に完了することができる。「たとえば、店舗やホテルなどの複数拠点を展開するユーザーでは、拠点で利用している機器が壊れても、保守用在庫を送るだけですぐに運用が開始できるようになる」とした。
さらに、ネットワークインフラ構築の構築時に現地調査を無料で行うキャンペーンを2022年12月31日までの期間限定で実施。「設計、施工、導入設定から保守までをワンストップで提供していく」と述べた。
BCP対策、テレワーク対応を強化
BCP対策では、2022年2月に、「キキNavi クラウドバックアップ」の提供を開始した。NASに特化したクラウドバックアップサービスである点が特徴で、「大量のファイルを扱った際にも安定したバックアップができる。また、フォルダ単位での管理にも対応している。NASの設定情報も管理できる。NASの運用管理からリプレース、廃棄までをワンストップで提供することにより、コンセプトに掲げている『データの一生を守る』ことを実現できる」とした。キキNavi クラウドバックアップは、1TB、3TB、5TEの容量ごとに、1年、3年、5年のなかから期間を選択できる。1年1TBの場合には3万6300円となる。2022年冬には、サブスクリプションメニューを追加する予定だ。
「テレワーク・業務デジタル化のインフラ構築」では、2022年5月に、最大5年の無償保証を提供するVPNルーターを発売。10GbE対応の有線モデル「BroadStation Pro VR-U500X」(6万280円)と、Wi-Fi 6対応の無線モデル「AirStation Pro VR-U300W」(4万9280円)をラインアップしている。「本社にはVR-U500Xを設置し、拠点にはVR-U300Wといった使い分けもできる。また、医療保険の資格情報をオンラインで確認する『オンライン資格確認システム』に接続する要件も満たしており、すでに歯科医院などで導入が進んでいる」としたほか、「2022年7月には、ファームウェアのバージョンアップにより、L2TP over IPsecに対応。自宅からのリモートアクセスにも利用できるようになる」とした。
2022年夏にWi-Fi 6対応の法人向けアクセスポイント「WAPM-AX4R」を発売することも発表した。価格は、5万4780円(税込)。「2×2のデュアルバンドモデルであり、幅広いユーザーに使ってもらえるボリュームゾーンを狙った製品である。オフィスや店舗、ホテル、病院、工場、倉庫など、さまざまな場所への導入を想定している。壁掛けや天井への設置、縦置きスタンドを使った設置、学校や病院などで利用する際のセキュリティカバーを装着した設置なども可能である」とした。
また、バッファローで特許を持つ「DFS障害回避機能」を搭載し、レーダー波を検知した際には、瞬時に干渉しないチャンネルへと自動的に切り替えを行い、安定した接続を確保。ゲストポート機能により、来訪者のPCやスマホへの接続を簡単に行えるようにしている。各種オプションアンテナを利用することで、電波の死角を失くしたり、公平通信制御により、複数の端末が同時に通信しても、バラツキが発生せずに平等に通信を行うことができる。「キキNavi」によるリモート管理も可能だ。