このページの本文へ

業界人の《ことば》から 第485回

パナソニックは世間を知らないという樋口氏、独自色見せる経営を、初任給も世界最高水準に?

2022年05月16日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

SCM事業は株式上場に向けて準備

 そして、新たに発表したのが、Blue Yonderを中心とするサプライチェーンマネジメント(SCM)事業を、株式上場させる準備を開始したことだ。

 Blue Yonderに加えて、パナソニックコネクトの現場ソリューションカンパニーおよび技術研究開発本部のなかから、Blue Yonderと密に連携する機能を組み合わせて、上場会社の組織を構成することになるという。

 上場主体となる会社および事業範囲の詳細、上場予定時期、上場市場などは未定としており、検討の結果次第では、組織再編が必要になる場合や、SCM 事業は株式上場しないという結論に至る可能性もあるという条件付きの発表だが、それでもこうした「準備開始」を発表したのは、SCMソフトウェア市場が、2026年までに年平均成長率14.3%という高い伸びを示すとともに、オンプレミス比率が約9割を占め、SaaSビジネスの拡大が見込める領域であり、「成長市場であるため、多額の資金が流入している。短期間に買収価格が上昇したり、人材確保が難しくなるという懸念がある。速く走らなければいけない」という危機感がある。IT業界で長年の経験がある樋口社長兼CEOの嗅覚によるものといっていい。

 「Blue Yonderのようなクラウド型SaaSビジネスは、タイムリーに正しい意思決定を行えば、大きく成長でき、企業価値の向上が可能できる。経営スピードをあげるための自主独立性と、パナソニックグループとの相乗効果の両方を実現する形で、株式上場を行うための準備を検討する」と語る。

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ