ロシアへの「HarmonyOS」提供の可能性はあるのか?
質疑応答では本国以外でのプロモーションを否定
ここからは、発表会での質疑応答をいくつか紹介する。
まずはチップのサプライチェーン継続性の問題をどう解決するのか? という質問に対しては、「半導体全体の問題解決は複雑で時間がかかることで忍耐が必要」とした一方で、「市場構造が変化し技術が分断している中で新しい需要が出てきており、投資が商業的に価値のあるものになる。この市場に参入する企業は増えるだろう」と予想した。
ファーウェイはせっかくの製造技術が利用できず、個別の技術で困難に直面しているとGuo氏は述べ、「システムのブレークスルーを積極的に模索している」「将来的には主力の通信製品はマルチコア構造を採用する。これによりソフトウェアアーキテクチャの再構築と性能の向上を支える」と続けた。
また、HarmonyOSをロシア向けに提供するかについての質問も出た。これは、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて欧米諸国がロシアに制裁を加える中で、ロシアのスマートフォンメーカーBQがGoogleの「GMS(Google Mobile Service)」が使えなくなるということからHarmonyOSを検討しているという憶測があったことが背景にある。
この質問に対してGuo氏は「現時点でHarmonyOSを中国以外でプロモーションする予定はない」と回答している。
筆者紹介──末岡洋子

フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

この連載の記事
-
第342回
スマホ
AR/VRの長すぎる黎明期 「Apple Vision Pro」登場から6ヵ月、2024年Q1は市場はマイナス成長 -
第341回
スマホ
世界で広がる学校でスマホを禁止する動き スマホを使わない時間を子供が持つことに意味がある? -
第340回
スマホ
対米関係悪化後も米国のトップ大学や研究機関に支援を続けるファーウェイの巧みな戦略 -
第339回
スマホ
ビールのハイネケンが“退屈”な折りたたみケータイを提供 Z世代のレトロブームでケータイが人気になる!? -
第338回
スマホ
ファーウェイはクラウドとスマホが好調で大幅利益増と中国国内で復活の状況 -
第337回
スマホ
米司法省、アップルを独禁法違反の疑いで提訴 その中身を整理する -
第336回
スマホ
Nokiaブランドのスマホは今後も出される! バービーとのコラボケータイ、モジュール型などに拡大するHMD -
第335回
スマホ
ファーウェイスマホが中国で好調、次期HarmonyOSではAndroid互換がなくなる!? -
第334回
スマホ
Nokiaのスマホはどうなる!? HMD Globalが自社ブランドのスマホを展開か -
第333回
スマホ
アップルがApp Storeで外部決済サービスを利用可能に ただし手数料は27% -
第332回
スマホ
米国で特許侵害クロ判定で一時は米国で販売停止のApple Watch、修正は認められるか? - この連載の一覧へ