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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第116回

アップルが高指向性スピーカーの特許を申請、自分だけに音が聞こえ、空間オーディオとも相性がいい?

2022年04月04日 13時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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 密閉型の完全ワイヤレスイヤホンが流行する一方で、骨伝導イヤホンやドライバーの中央をくりぬいたソニーの「LinkBuds」など、周囲の音を聞きながら音楽を楽しみたいという要求もまた高い。アップルが興味深い特許を出願した。米国特許出願番号20220095049の「WEARABLE DEVICE WITH DIRECTIONAL AUDIO(指向性を持ったウエアラブルデバイス)」だ。

 これはスピーカーを備えたポータブル音響機器だが、指向性の高い音を出すことで持ち歩いているユーザーのみに聞こえる音声を出すものだ。パラメトリックスピーカーが使用されている。超音波を使うことで高い指向性が得られるスピーカーだ。

添付図1

 添付図1を見ると、ユーザーが首からこのデバイスをかけていることがわかる。指向性が高いので音はユーザーのみに聞こえるわけだ。特許なので請求範囲を広くするために、添付図2のようにアタッチメント(110)にデバイス(150)をはめ込み、家具や枕などにも取り付ける例が示されている。

添付図2

 パラメトリックスピーカー自体は特殊な物ではない。秋葉原のパーツショップで実験キットを購入することもできる。ただし、デスクトップに置くスピーカーとは異なる。ポータブルオーディオの場合はユーザーが動き、デバイス自体も動くため、指向性を固定するためには常にユーザーとデバイスの向きを連動させる必要がある。その様子が示されているのが添付図のFig2とFig3になる。これは音声を出力するだけではなく、マイクとしてユーザーの声を拾う際にも効果的に働くという記述がなされている。

 ここには挙げないが、添付されているアルゴリズムでも方向を検知するステップが明示されている。そういう点ではアップルが空間オーディオで実現しているところの「ユーザーが動き、またデバイスも動く」という現有技術と相性が良いものかもしれない。もちろん特許なので実現されるかどうかはわからない。しかし、空間オーディオ的な意味合いでも、面白い展開があるかもしれない。

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