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デスクトップスピーカーに小さな巨人が登場

日本の伝統が息づいたクリプトン「KS-55Hyper」、テレビサイドでもPC連携でも最高の音

2022年03月30日 11時00分更新

文● 麻倉怜士 編集●ASCII

提供: クリプトン

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Bluetooth再生の歌声も滑らかでつややかに

 PCとUSB接続した際のハイレゾ再生はどうか。愛用の「ThinkPad X230」で「foobar2000」を使い、私が主宰するレーベルUAレコードのアルバム「情家みえ・エトレーヌ」を聴く。その中の「チーク・トウ・チーク」では、暖かく、躍動感に溢れ、前向きな積極さを持つ情家みえの声質が楽しく、明朗に感じられた。充実した低域が音場全体に揺るぎない安定感を与え、その上で聴けるのが、闊達な音進行。音の表面の微少な凹凸も分かり、声に、艶やかなリアリティが付与される。「アイ・キャン・ギブ・ユー・エニシング・バット・ラブ」はイントロのバラード調の優しさ、表情の深さ、感情の暖かさ……が気持ち良く再生され、主部に入ると、快適なテンポ感と、伸びのクリヤーさが耳の快感。山本剛のピアノもオブリガードの高音も軽妙洒脱。これを聴くと、テレビスピーカー用途もよいが、やはりスピーカー専門メーカーの矜持はハイファイにありと、痛感した。

 Bluetoothも佳い。KS-55Hyperの「低域充実+中高域のバランスの良さ」という基本的な美質が、ここでも再生の基礎となり、充実感の高い音を聴かせてくれる。世の中のBluetoothスピーカーは伝送による情報量不足からか、過度に輪郭を立てたり、周波数特性をドンシャリ(低域と高域を強調)にしたりして人為的な演出を加えたものが多い。オーディオ的にはほとんど全滅だが、低音が安定した、ピラミッド的な周波数特性(トーンバランス)を聴かせる本スピーカーは、まったくもって異例だ。

 私はカーペンターズの「イエスタディ・ワンス・モア」(96kHz/24bit)をBluetooth試聴のリファレンスにしている。冒頭のリチャードのピアノがしっとりと気持ち良く奏でられ、When I was young……から始まるカレンの歌声はジェントルですべらか。ストリングスの艶感も適度だ。

 KS-55Hyperは日本を代表するスピーカーメーカーが、本気を出して開発したミニスピーカーだ。小さいのだから、オーディオ的な性能はそれに見合ったレベルでよいという姿勢は皆無である。このサイズなのだが、音を良くするために「できることはすべてやる」というものづくりの真摯な姿勢を称えたい。

 惜しむらくは、この製品も電子部品の部材不足の影響をうけて、品薄が続いている点。メーカーとしても安定供給のために努力しているそうなので、早く供給が安定するよう期待したい。

■関連サイト

(提供:クリプトン)

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