最高峰性能の小型マシン「Mac Studio」に新iPhone SE/iPad Air登場! 2022年春のApple Event 第33回
その手があったかと驚かされたアップル「Max×2=Ultra」【柴田文彦】
2022年03月19日 15時00分更新
これでもまだパフォーマンスの伸び代を残したMac Studio
そして、M1 Ultraを搭載したMac Studioの登場だ。最初に驚いたのは、M1 Maxには2つのダイを直結してパフォーマンスを倍増させるという奥の手が隠されていたこと。その手があったのかと、正直度肝を抜かれた。確かにM1 MaxのMaxは「最大限」あるいは「上限」を意味する語なので、文字通りに取れば、それをさらに性能向上させることはできないことになる。しかし、2つくっつけるなら話が別だ。アップルは、その盲点を突いてきたのだ。
こうして、M1が、M1、M1 Pro、M1 Max、M1 Ultraとラインナップを揃えてきたのは見ているだけでも壮観だ。
それと同時に、今後の性能向上は、いったいどこまで行くのか、それをどうやって達成するのか、という強い興味が湧き上がってくる。それは、こんどこそ「M2」によって実現されるのだろうか。何しろ、M1単体では、すでにMaxに達し、今回も2個使いすることでしか性能向上が図れなかったわけだから、M1としては限界の性能に到達したと考えられるのだ。ついでに憶測すれば、そのM2には、さらに度肝を抜くようなアーキテクチャが採用されることも期待できる。その登場時には細かな技術的な解説が不可欠となるだろう。とすれば、それにもっともふさわしい機会は、おそらく今年も6月に開催されるWWDCをおいてほかにない。というわけで、今からWWDCが楽しみでしかたがない。
M1 Ultraを搭載して登場してきたMac Studioは、ネーミングもスタイルも、やはり意外なものだった。これについても、その手があったのか、と感心せざるを得ない。
発表会の映像だけでも、なんとなく判断できるが、Mac Studio本体の卓上での専有面積はMac miniとまったく変わらない。どちらも幅、奥行きが19.7cmとなっている。そして、ビデオに出てきた透視図を見ると、Mac Studioの中身は、ちょうどMac miniと同じくらいの高さの基板の上部に、巨大な空冷機構を乗せたような状態になっているようだ。
低消費電力、低発熱がウリのM1チップで、これだけの空冷機構を採用しているのは、むしろ意外に感じられる。特にM1 Maxを搭載したモデルについては、同じチップを搭載したMacBook Proと比べても、明らかにオーバースペックだろう。そしておそらくM1 Ultra搭載モデルにしても、空冷能力にはまだまだ余裕がありそうな気がする。単純に考えれば、チップが2倍になれば発熱も2倍になり、2倍の空冷能力が要求される。しかし、Mac Studioの空冷能力は、どう見てもMacBook Proの2倍どころではなさそうに見えるからだ。
と考えると、今後さらに高性能を追求し、それなりに発熱が大きくなったチップが登場しても、Mac Studioは今のスタイルのまま、平然と対応することができるのだろうと想像できる。
いずれにしても、このような超高性能のMacが登場することは、Macユーザーとしても、なんだか誇らしいことだ。しかしそれと同時に、一抹の寂しさも感じる。というのも、特に今回のMac Studioほどの性能は、自分には必要ないということも明らかだからだ。もちろん、いくらでも高性能が必要だという用途はあるのは間違いない。しかし、ユーザーの数で言えば、そこまでの高性能は必要ないという人の方が多いはず。いや、今のMacはプロ用がメインであり、高性能の追求は当たり前のことだという意見もあるだろう。
前回のM1 Pro、M1 Maxを搭載したMacBook Proに続き、今回さらなるハイエンドのMacが登場したため、エントリークラスのMacが取り残されてしまったような気がするだけなのかもしれない。それだけに、次にM2と呼ばれるようなチップが登場した際に、それがどのような位置付けのものとなるのか、それを搭載したMacがどうなるのか、興味が尽きない。
素のM2は、少なくとも素のM1よりは高性能になるはずだが、M1 MaxやM1 Ultraよりは低い位置付けのものになるのだろうか。そして、M2についても、Pro、Max、Ultraといったアップグレードが登場して、それぞれのM1版を追い越していくのか。あるいは、素の状態でも、いきなりM1 Ultraを上回る性能のチップが、M2として登場することになるのだろうか。もちろんMac Proがどうなるのかも気になる。今年はMacの動向から目が離せそうにない。

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