地図をコンテンツ化する「テーママップ」
コンテンツとして地図情報、行き先を探すための地図情報として同社が今力を入れているのが「テーママップ」だ。
テーママップとは、特定のテーマに基づいて地点情報を絞り込み、地図上に提示する機能。単なるジャンル検索ならよくあるものだが、もっと強い「テーマ」で絞りつつ、そのテーマの中でリッチな情報を提供しているのが特徴だ。例えばクーポンがある店を出してくれる「クーポンマップ」では、店のアイコンでわかりやすく表示するなどの工夫がなされている。
日本中を同じように網羅するのでなく、地域ごとにおすすめスポットをまとめた「地域のおすすめテーママップ」もある。こちらは、「今いる場所の近くでのおすすめ」であり、例えば「目黒のおすすめ観光マップ」「六本木でおすすめのピザ10選」といった分け方もしている。
クーポンマップの開発を担当している山口氏は「ラーメンマップ」を例に次のように説明する。
山口玲弥氏(以下敬称略):網羅的に情報が掲載されていることがテーママップの特徴なのですが、それだけでなく、より整理され、カテゴライズもされている点が重要です。ラーメンだと、味の好みや評価が気になるじゃないですか。そうした部分での検索もできますし、写真も載っていて、どんなラーメンかわかるようになっています。
他社マップとは「局地戦」で併存を目指す
一方で、テーママップにこだわるのは、グーグルやアップルといった強力なライバルに対する対抗策でもある。その様子を水谷氏は「局地戦」と称する。
水谷:現時点で、他のアプリに対して利用者数で負けているのは事実です。その上で、いかにYahoo! MAPアプリを起動してもらえるか? これはまさに「局地戦」です。例えば、ラーメンを探すときにはYahoo! MAPを最初に思い出してもらいたい。同じように、うどんを探すときに、トイレを探すときに、喫煙所を探すときに。そういう風に、必要な時にYahoo! MAPを立ち上げてもらえるように、です。
総合的に完成度を高めることも重要なのですが、局地戦で勝つことも重要。テーママップを始めて1年くらいが経過しました。数字を開示することはできませんが、ある程度良い感触は掴めてきています。この「局地戦」では、Google Mapの数字に直接勝つことが重要ではないんです。例えばラーメンのテーママップなら、ラーメンの専用メディアやラーメン専用のアプリとの競合を意識する必要があります。
一方で面白いのは、ラーメンのテーママップを使う人と、クーポンのテーママップを使う人はセグメントが全く違うんです。そうして、それぞれのペルソナ・ターゲットにあわせて積み上げていければ、と思います。