本連載は、マイクロソフトの「Microsoft 365」に含まれるSaaS型デスクトップ&Webアプリケーション(以下、アプリ)「Microsoft 365 Apps(Office 365)」について、仕事の生産性を高める便利機能や新機能、チームコラボレーションを促進する使い方などのTipsを紹介する。今回は2022年2月から順次使用できるMicrosoft Teamsの新機能と今後の進展に注目した。
Microsoft 365 Appsを取り巻く環境を俯瞰すると、法人向けMicrosoft 365 AppsやSharePoint Online(プラン1)で利用可能だったMicrosoft Listsを、Microsoftアカウント所有の消費者20万名にプレビュー公開したことが話題に上った。ただ、本稿が掲載される頃には締め切りを迎え、すでに利用可能なソリューションなので深掘りは避けよう。関心をお持ちの方は公式ブログを参照してほしい。
音楽だけでなくオンライン会議などに効果を発揮するオーディオ機能
さて、Microsoft Teams(以下、Teams)の公式ブログでは、今後加わる新機能について言及している。最初はミュート解除機能。Teamsは以前から「Ctrl」+「Shift」+「M」キーでマイクのオン/オフを切り替えることができたが、新たに「Ctrl」+「スペース」キーを長押しすることでミュート解除、キーを離すとミュート状態に戻す機能を備えている。オンライン会議用デバイスのスピーカーフォンが供えるミュートボタンのように使用することを想定しているのだろう。本機能はTeamsの開発者プレビュー バージョン1.5.00.2164で確認した。
次は「High Fidelity Audio Mode(高品質のミュージックモード)」。過去のオーディオ機器などが供えてきた“Hi-Fi”と表現した方がピンとくるだろう。この高品質のミュージックモードを有効にすると、オンライン通話や会議のオーディオ品質が向上する。Microsoftは「ライブ音楽や他のアプリを介した曲、または医療などの非音声コンテンツを共有する際に豊かなサウンド体験を得られる」と利点を主張した。こちらも同バージョンで機能を確認した。
さらに新たなTeamsは独立したオーディオフィード機能を備える。こちらの詳細は不明だが、NDI(ネットワークデバイスインターフェイス)やハードウェアアウトを使用することから、映像配信と音声配信を分離し、自由度の高いウェビナーやオンラインイベントの開催が可能になるのだろう。この他にもウェブ版Teamsのカスタム背景サポートや、Windows版Teamsによるカメラのミラーリング、Teamsクライアントでスマートフォンをトランシーバー化するWalkie Talkieアプリも興味深い。
低い性能のPCでも重い動作にならないためのパフォーマンス改善
だが、注目すべきは同時期に公開された公式ブログの内容である。記事の内容を端的にまとめると、Teamsのパフォーマンス向上に取り組むというものだ。筆者も「Teamsは重い」という声を耳にすることはある。だが、多めのメモリーとCore i7クラスのPCでは気にならない。MicrosoftはTeamsを在宅勤務する従業員同士のコミュニケーションツールにとどめず、ファーストラインワーカーと呼ばれる業務の現場で働く方々への利用拡大を目指してきた。しかし、現場利用を目的とした貸与PCの性能が低いことは珍しくない。そのため機能拡充を中心としてきたTeamsの動作に緩慢さを覚えるのだろう。
同公式ブログはTeamsのパフォーマンスチームが「パフォーマンス第一」の主張を標榜し、消費するメモリーの軽減やメモリーリークの改善、コンポーネントの最適化に取り組んでいることを明かしている。同社は「四半期ごとの着陸で継続的に改善し、既存アーキテクチャーの技術的制約を超えて投資する」と述べていることから、本取り組みの成果を得られるのはしばらく先となりそうだが、日常的にTeamsを業務利用している方々には恩恵となりそうだ。
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