実際のところはどうなのか?
では、筆者の日常で実際のところはどうなのか? を考えてみると、少し異なる景色が見えてきます。ぶっちゃけた話、筆者は新しく手に入れた、ポートがきちんと整っているMacBook Pro 14インチで、充電用のMagSafeも、映像出力のためのHDMIも使っていないのです。
例えば自宅のデスクの場合。接続するものは電源、ディスプレーだけなら、ディスプレーからのケーブル1本で済みますが、そのほかにもマイクや映像スイッチャー(ATEM Mini Pro)のUSB-Cケーブル、USBマイクなど複数のデバイスが必要になります。
そこで、85W給電に対応するAnkerのUSB-Cハブ「Power Expand Elite」を用意し、これにデスクの周辺機器の入力を集約。家に帰ってくるとMacBook ProをUSB-Cケーブル1本で接続して、充電しながら周辺機器との接続を図る仕組みを作り上げました。
一方、大学を含む外出先ではというと、「Zendure SuperHub SE」を愛用しています。この製品は、2021年に買ったものの中でベストに値する製品でした。
GaN(窒化ガリウム)を用いたACアダプタで、USB-C × 2、USB-A × 1、HDMIポートを内蔵しています。単体でも、3つのデバイスの充電ができます。そのため、出張でも、コンピュータ、スマートフォン、スマートウォッチの3つのデバイスを手のひらサイズのデバイスで充電できるのです。
このうち、Macと接続するUSB-Cポートは30Wの給電に対応し、かつ、この製品自体がUSB-Cハブとして利用でき、データ転送や画面出力をすることができるのです。
大学の現場では、教室の教壇で資料を映し出しながら授業をするだけでなく、自分のパソコンを持って教室内の学生のグループワークに行くこともあります。その時に、電源と充電中のスマホ、HDMIケーブルを差し込んでいると、何本もケーブルをコンピュータ本体から抜かなければならなくなり、わずらわしい…。
やはりこのSuperHub SEを介してUSB-Cケーブル1本で接続する使い方以上に快適な授業運営は無くなりました。
と振り返っていくと、やはり結局ポートが増えたMacBook Proであっても、結局筆者はUSB-Cポートしか使っておらず、Appleの2016年の提案は、より便利にしてくれる周辺機器の存在によって、正しかったと感じている次第です。
ただ、世間一般として、周辺機器を買い足さないとならないというのは、やはり理解が得られない部分なのかもしれません。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。モバイルとソーシャルにテクノロジー、ライフスタイル、イノベーションについて取材活動を展開。2011年より8年間、米国カリフォルニア州バークレーに住み、シリコンバレー、サンフランシスコのテックシーンを直接取材。帰国後、情報経営イノベーション専門職大学(iU)専任教員として教鞭を執る。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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