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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第107回

ヘッドホン向け空間オーディオ技術も多彩化の時代に、Dirac Virtuo

2022年01月17日 13時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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 昨年は「空間オーディオ」に大きな関心が集まった1年だった。立体的な音場提供するための技術には様々なものがあるが、ここでは「Dirac Virtuo」を紹介する。

 Dirac Virtuoを開発したスウェーデンのDirac Researchは、海外のオーディオ分野ではルームチューニングやルームアコースティックにおいてつとに知られた会社だ。Dirac Researchは音響測定からデジタルフィルターによるイコライザー生成までを自動化した「Dirac Live」というソフトウェアとそれに対応したDSPハードウェアが有名だ。リスニングポジションと部屋の形状によって最適な音響を実現するものだ。

Clear Audio Alpha

 さて、Dirac Virtuoは先日のCES 2022で同技術を採用した「Clear Audio Alpha」ワイヤレスヘッドホンがCES 2022のイノベーション賞を受賞したことで脚光を浴びた。

 AlphaはClear Audioのフラッグシップ機で、流行のアダフティブ型ANCを搭載している。さらにDirac Virtuoを搭載することで音場を広げ、映画館のようなサウンドを提供できるとしている。Dirac Virtuo for Bluetooth Headphonesは通常のステレオ音声を3Dオーディオに変換するものだ。この技術には、Dirac Liveで培ったデジタルフィルターが応用されているという。なお、Dirac Virtuoには「Dirac Virtuo for Mobile Audio」というマルチスピーカーを搭載したスマートフォンやタブレット向けの技術もある。

 また、Dirac Virtuoの新機能としてコンテントベースの処理機能が加わった。これは既存のステレオ音声の内容を解析し、マルチチャンネルオーディオを生成、既存のマルチチャンネルシステムに使用できるというものだ。DSPの追加は必要なく、独自技術で競合技術よりも歪みの少ない自然な音質を実現できるとしている。

 この技術はまずカーオーディオの分野で応用される予定だが、そのうちにホームオーディオ技術に応用されて家庭でも体感できるかもしれない。

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