日本マイクロソフトが開催した同社最大の年次イベント「Microsoft Japan Digital Days」の最終日となる10月14日、「Azure BaseからMicrosoft Baseへ~過去・現在・これから~」と題したセッションが行なわれた。同セッションでは、新たに沖縄那覇、名古屋本山、新潟加茂の3カ所にMicrosoft Baseが設置され、全国16拠点となることが明らかにされた。将来的には47都道府県すべてに、最低でも1拠点ずつ設置する構想があることも示された。
Microsoft Base名称変更の背景
日本マイクロソフトでは、2019年12月に第1号となるAzure Base代官山を開設。直営展開するととも、バートナー企業との連携により、全国展開を進めてきた経緯がある。
2021年7月からは、名称を「Microsoft Base」に変更。日本マイクロソフト Azureビジネス本部 プロダクトマーケティングマネージャーの竹内宏之氏は、「Microsoft Baseは、日本のDXを加速するための物理拠点であり、Baseには情報発信基地の意味を込め、DXに関する情報やヒントを発信している」と前置きし、「日本マイクロソフトでは、Microsoft 365やDynamics 365、Power Platformのほか、Surface、HoloLensなどのデバイスを含め、幅広い製品を提供している。DXを加速するという意味では、Azureだけではなく、さまざまなマイクロソフト製品の組み合わせが必要である。そうしたことを捉えて、名称を変更した」と説明した。
東京(代官山)のほか、大阪、佐賀には、日本マイクロソフト直営のMicrosoft Baseを展開。日本マイクロソフト Azureビジネス本部 プロダクトマーケティングマネージャーの森中彦人氏は、「代官山は、フラッグシップ拠点となり、代官山駅から徒歩2分圏内。おしゃれな街であり、IT業界にとってはアウェー感がある。大阪は代官山の2倍のスペースがあり、50席のセミナールームを持ち、テラス席でも電源、Wi-Fiを完備している。佐賀は佐賀駅から2分の距離で、コワーキングスペース、セミナールームも用意している。コロナ禍が落ち着いたら、ぜひ利用してほしい」と述べた。
今回のセッションのなかで初めて明らかにされたのが、3カ所のMicrosoft Baseの新設だ。
新設される沖縄那覇は、沖縄銀行の子会社として2021年4月に創業した、みらいおきなわが運営。「地域企業の経営支援、販路拡大、デジタル化の支援、DX促進を行っていく。サービス産業が中心となる沖縄の企業は、コロナ禍で大きなダメージを受けている。生産性にも課題があり、DXによってこれらの課題を解決していく」と発言。
同じく新設される名古屋本山を運営する大垣共立銀行では、「大垣共立銀行は、年中無休のATMサービスを全国で初めて実施するなど、新たなことに取り組む金融機関である。DX発信拠点として、取引先企業のコンサルティングを実施。文教地区にあるため、大学発のスタートアップ企業の支援にも取り組む」とした。新潟加茂は、小柳建設が運営することになる。「2016年から建設業全体のDX化に向けて、HoloLensを活用したソリューション開発などにも取り組んできた。地方創生に向けた新たな働き方提案、当社の実践例などを通じたデジタル化によるDX支援に取り組む」と述べた。
全国のMicrosoft Baseからのメッセージ寄せられる
一方、全国のMicrosoft Baseの担当者からもメッセージが寄せられた。
HAJエンパワーメントが運営しているMicrosoft Base札幌では、「これまでの産官学の連携による取り組みをさらに強化し、地域のDXを推進していく。道外の人たちにもワーケーションなどで活用してほしい」とコメント。
仙台を運営するASAHI Accounting Robot LABおよびミヤックスでは、「Power Automateを活用して、業務の自動化を支援している。開発者の育成支援にも取り組んでおり、東北地区の企業のDX支援を行なっていく。東北ではデジタルに触れる機会が少なく、デジタル人材も不足している。そうした課題も解決したい」と述べた。
金沢はシステムサポートが運営。「Azureによるクラウドマイグレーションにおいて多数の実績を持つ。今後は、金沢市との連携による地方創生の活動に加えて、学生、企業のIT人材の底上げに注力する。この点では北國銀行とも提携した」と述べた。なお、年内には金沢駅と直結した新拠点を開設するという。
シーサイド(東京芝浦)および四日市を運営しているのがFIXERだ。「四日市では、Power Platformを活用したDX人材の育成に力を注いでおり、四日市市役所などを対象に400人の育成を行った」としたほか、伊勢を運営するゑびやおよびEBILABでは、「店舗での需要予測や店舗分析などに、様々なテクノロジーを活用し、高収益を生む仕組みを構築している。このノウハウを日本中の店舗、飲食業に展開していくことになる。リアルな場所で活用するDXを共有していく」と発言。神戸を運営する神戸デジタル・ラボでは、「開発者同士のコミュニティを盛り上げたいと考えており、Azure Tech Labをはじめとする活動に力を入れている」とした。
広島は、やまぐちフィナンシャルグループのデータ・キュービックが運営。「クラウドサービスやデータ分析、AI活用などによるDX支援を実施。テクノロジーと地域アーティストの接点の場としても活用している」とし、福岡を運営しているオルターブースでは、「オンラインを活用したウェビナーなどを展開。リモートでのハッカソンでも高い成果が生まれている」とし、沖縄(沖縄市コザ)を運営するLink and Visibleでは、「スタートアップ支援や、地域企業や自治体のDX支援、オープンイノベーションを行っている。沖縄市からDXに挑戦していく拠点になる」などとした。
さらに、Virtual Microsoft Baseの取り組みについても説明。「仮想空間でイベントに参加したり、情報を入手できるものであり、マイクロソフト社員に技術的な相談もできる。また、Teamsを活用して、日本全国のMicrosoft Baseと連携したイベント開催も可能である。マイクロソフトアカウントを持っている人であれば、誰でも登録して、参加できる。近くに拠点がない場合にも活用してもらいたい。Microsoft Baseをステップに、日本のDXを加速したい」(日本マイクロソフトの竹内氏)と述べた。