超パワーなM1 Pro/M1 Max搭載のMacBook Pro登場 新型AirPodsも! 第9回
アップル新発表「M1 Pro」「M1 Max」の価値とApple Music戦略を分析する
2021年10月20日 12時00分更新
アップルがMacBook Proを刷新した。公開されたパフォーマンスを見ると「圧巻」の一言だ。AppleシリコンであるM1の上位版となる「M1 Pro」「M1 Max」の特性を活かした、まさにプロ仕様のノート型Macになったと感じている。
それらがどのような意味を持つのか、改めて分析してみよう。
予想外だった「2つのプロ向けM1」、バッテリーでも機能が生きる点を活用か
昨年アップルがMacをARMコアの自社設計半導体である「Appleシリコン」に移行する、と発表したとき「いきなり高い完成度の製品が出てくる」と予想した人はどのくらいいただろうか。だが実際、M1を搭載したMacはどれも完成度が高い。M1というプロセッサーが、性能と消費電力、そしてコストのバランスにおいて優れた存在であったこと、対応macOSの準備を相当長い時間をかけて行ってきたことなどが理由だ。
だから、今年の秋に出ると予告されていたプロ向けのAppleシリコン搭載が「2つになる」と思った人も少ないのではないだろうか。だが、冷静に考えるとあれは必然なのだ。
アップルが発表で示したグラフをよく見るとわかるが、M1 Maxであっても、ハイエンドのdGPU搭載PCにはパフォーマンスでかなわない部分がある。だからM1 Proだけというわけにはいかなかっただろう。
より高い性能を目指すためにGPUコアを増やしていくと、性能を活かすためにより多くのメモリーが必要になり、ユニファイドメモリーへのアクセス速度を稼ぐには、広帯域なバスが必要になる。最高性能を目指さないものと、最高性能を目指すものとでは設計を変えざるを得ない。従来なら「dGPUでなにを使うのか」「クロック周波数はいくつか」といったことで差別化するが、自社設計で生産も自社がコントロールする以上、「数は増やさず、でも必要な性能バリエーションは用意する」ことが求められる。
その上で、Appleシリコンの美点である「性能を上げても消費電力はそこまで上がらない」という要素を活用することで、バッテリーであろうが電源がつながった状態であろうが、同じように性能が出ることを活かす。
この辺はM1も同じだったのだが、M1 Pro/M1 Maxを使う新MacBook Proも、その流れに沿った製品になった。
SoCのトランジスタ数が一気に増えているので、消費電力も当然増えてはいるだろう。だが、不要な時にコアを積極的に止めることと、本体重量を増加させ、その分バッテリーを多く搭載することで、全体のバランスはうまくとっている可能性が高い。この辺は、実機でテストしてみないとなんとも言えないところだ。
おそらくだが、今後もアップルは、プロ向け・ハイエンドではコア数を増やすなどのSoCのバリエーションを用意していくだろう。
一方、エントリーモデルでは、今のM1搭載機やiPhoneがそうであるように、「形が違っても、クロック周波数さえ変えずに同じSoCを使う」可能性が高い。そうすることで、エントリーモデルでは量産効果を最大限に発揮し、コストパフォーマンスを上げることができる。
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