2023年から開始
「インボイス制度」小規模事業者の8割以上が正しく理解していない、弥生調査
弥生は9月27日、10月の適格請求書発行事業者の登録申請開始にあたり、全国の個人事業者・30名以下の小規模事業者2000名(経営者および経理担当者)を対象に実施した「インボイス制度に関する意識調査」の結果を発表した。
インボイス制度は2023年から導入することが決定している。取引内容や消費税率、消費税額などの記載要件を満たした請求書などを発行・保存しておく制度で、要件を満たした請求書を保存しておくことで、仕入れ側は消費税の仕入額控除を受けることができる。
(1)全体の84.1%が、インボイス制度について「全く知らない・聞いたことがない」「聞いたことはあるが内容はよくわからない」と回答。
多くの小規模事業者が制度を正しく理解していないことがわかった。(n=2000,単一回答)
インボイス制度について「全く知らない・聞いたことがない」と回答した人は45.4%だった。「聞いたことはあるが内容はよくわからない」と回答した38.7%と合わせると、小規模事業者の84.1%が制度を正しく理解していないことがわかった。「内容を知っている」と答えたのは、回答者の2割に満たない15.8%。
個人事業主に絞ると、「全く知らない・聞いたことがない」と回答した人は53.3%と、全体の結果と比較して7.9ポイント増となり、制度の認知度が下がることがわった。「聞いたことはあるが内容はよくわからない」と回答した人は35.9%、「内容を知っている」と回答した人はわずか10.8%。
(2)インボイス制度について認知している人のうち、「2021年10月から適格請求書発行事業者の登録申請の開始されること」を知っているとの回答は20.3%。(n=1131,単一回答)
本調査は8月末に実施したが、登録申請開始がおよそ1ヵ月後と迫った本タイミングにおいても、10月から登録申請が始まることを知っている人は20.3%だった。さらに、インボイス制度自体の導入時期について「2023年10月に導入されること」を「知っている」と回答した人は、インボイス制度を認知している人のうち22.6%と、同じく低い結果となった。
(3)インボイス制度の準備課題1位は「自社にどのような影響があるか分からない(38.5%)」、
2位は「何をどのように進めればよいか分からない(25.7%)」(n=2000,複数回答)
インボイス制度の準備課題1位は「自社にどのような影響があるか分からない(38.5%)」、2位は「何をどのように進めればよいか分からない(25.7%)」、3位は「いつから準備を進めればよいかわからない(21.6%)」となった。
回答者のコメントでは、「具体的に何を準備すればいいのかが不明確」「問題点が挙げられるほど知識が整っていない」「まだ理解していないので困りごとすらわからない」といった、制度自体の理解が進んでいない状況や、「社内や取引先への周知がまったくできていない」「取引先に免税にしている個人事業主が多いのでどうするか悩みどころ」など、取引先への説明に関しての不安が見られた。
(4)インボイス制度導入などの法令改正について困った際の相談先1位は「会計事務所(43.4%)」。
個人事業主は、法令改正の際の相談先がないという課題も。(n=2000,複数回答)
インボイス制度導入などの法令改正について困った際の相談先について、43.4%が「会計事務所/税理士」と回答。次点は、「税務署」で17.0%だった。個人事業主に絞ると、「会計事務所/税理士」と回答した人は、21.4%に留まり、「相談先がない」と回答した人が17.4%、さらに「相談しない」と回答した人が32.4%と、個人事業主は法令改正の際の相談先がない結果がわかった。
総括
本調査結果から、小規模事業者におけるインボイス制度の認知・理解は十分に進んでいないことがわかり、また「どのように進めたらよいかわからない」との声もあがっていた。
同社は、制度開始を万全の状態で迎えるためには、まずはインボイス制度が自社にどのような影響があるのかを整理、把握することが重要としている。そのために、2021年10月の登録申請開始を機に、広く小規模事業者を支援していくために、弥生公式サイトを介して情報発信を行なっている。
さらに弥生は、「事業者が共通的に利用できる電子インボイス・システムの構築を目指し、電子インボイスの標準仕様を策定・実証、普及促進させること」を目的とした電子インボイス推進協議会(2020年7月発足)の代表幹事法人を務めている。電子インボイスを活用することで、業務のデジタル化の促進、小規模事業者の圧倒的な業務効率化を支援する。
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