低音に浸りたい人は注目の完全ワイヤレスイヤホン
ゼンハイザー「CX Plus TrueWireless」を聴く、初のaptX Adaptive対応製品
2021年09月21日 13時00分更新
必要な機能を押さえた中級クラス完全ワイヤレス
ここでCX Plus TWS機能を簡単に解説しておく。
直径7mmの自社開発ドライバーを搭載する点は、20万円クラスの「IE 900」にも共通する、ゼンハイザーのイヤホンの特徴である。CX TWSとの違いはノイズキャンセリング機能の搭載、aptX Adaptiveへの対応、「サイドトーン」という通話時に自動で音楽再生の音量がすっと下がる機能などだ。本体は小型化し、IPX4相当の防滴機能にも対応。バッテリー駆動時間は約8時間(ANCオフ)、ケース充電併用で合計24時間の再生が可能となっている。
ノイズキャンセルはハウジングの外側と内側にマイクを持つデュアルタイプ(ハイブリッドタイプ)ではなく、外側のみのシングルタイプとなる。ここはMOMENTUM TrueWireless 2と同様。信号処理を使ったノイズキャンセルはノイズ対策として有効だが、悪影響もある。ゼンハイザーでは本体の遮音性などアコースティックの面での音作りを優先し、最小限の範囲で掛けるという思想に基づいて製品を開発している。
飛行機などで発生するゴーっとした低周波のノイズは外側マイクのフィードフォワード処理で効果的に取り除ける。一方、内側マイクのフィードバック処理はなかなか難しい面がある。ゼンハイザーはあえて効果が高いフィードフォワード処理に限定し、遮音性を中心とした素の作り込みで勝負しているわけだ。
近接センサーによる着脱の認識(耳から外すと音楽が止まる)や外音取り込み機能の自然さなども配慮している。ケースも小型になっていて、ポケットなどに入れても邪魔にならない。実売2万円前後のクラスは高付加価値だがそこまで高価でない中級クラスとして今年後半ホットになりそうだ。CX Plus TWSは、見た目は簡素でやや武骨な感じもある。ただ、使い勝手や音質などトータルのできを考えれば、3万円を超す上位クラスの製品と遜色ない仕上がりと言っていいと思う。