業務を変えるkintoneユーザー事例 第119回
NPO法人チャリティーサンタで実践した事務処理の効率化とデータ活用
サンタクロースの仕事のやり方をkintoneが変えた
2021年09月22日 10時00分更新
2021年7月8日、東京の新木場STUDIO COASTにて「kintone hive tokyo 2021」が開催された。kintone hive(キントーンハイブ)は、kintoneを業務で活用しているユーザーがノウハウや経験を共有するイベントだ。全国6ヵ所で開催され、その優勝者がサイボウズの総合イベント「Cybozu Days」で開催される「kintone AWARD」に出場できる。
登壇したのは5社で、3番手はNPO法人チャリティーサンタの青山恭隼氏。「サンタクロースの仕事を変えた kintone活用事例」を発表してくれた。
年間5000人のサンタを子供たちの元へ
チャリティーサンタは、サンタクロースを呼びたい家庭とサンタになりたいボランティアをつなぐNPO法人。預かったチャリティー金で困難な状況にある子供達を支援する活動を行なっているという。2008年から活動しており、北海道から沖縄まで、全国約40の支部が展開しており、500名の運営スタッフにより、年間5000人の子供達のところにサンタが訪問しているという。
サンタはただ訪問してプレゼントするだけではない。子供ひとりひとりの名前を覚えるのはもちろん、事前に親御さんからヒアリングした「今年がんばったこと」をたくさん褒めてあげ、来年がんばることを約束する。たとえば、「好き嫌いをなくそう」とか「片付けをしよう」といった約束だ。普段いくら親が言っても聞かなかった子供が、サンタから言われた途端、急に変わるような「サンタマジック」も起きているそう。
青山氏はボランティアとして学生の頃からチャリティーサンタ活動に参加していて、今年で7年目となる。本業は別にあり、本日は有給休暇を使って参加しているそう。東京支部で活動しており、たまにはサンタとして訪問することもあるが、それ以外は全国でIT基盤を整えるグループに所属している。ちなみに、東京支部のサンタは子供のところに向かうときにサンタの格好のまま電車に乗るとのこと。遭遇した人は驚いたことだろう。
事務処理が多すぎて去るサンタも
そんなチャリティサンタの課題は、クリスマス時期の事務処理だった。「kintoneを導入する前、クリスマス前後の時期は大忙しでした。訪問してくれる2000人のサンタを集めたり、5000人の訪問先の募集をしたり、当日まで入念なメール対応をするなど、たくさんの事務作業があります。ボランティアの皆さんは、子供の笑顔が見たいという想いで参加してくれるのですが、事務作業があまりにも多すぎて、団体を去って行くメンバーもいました」(青山氏)
そこでITツールの導入を検討することになった。条件は、事務作業を軽減して、創造的な活動に時間が注げることと、メンテナンスが容易なIT基盤であることのふたつ。今までExcelでばらばらに管理していた情報をクラウドに集約し、データ活用による事業価値の向上も目指すことにした。
kintoneを選んだ理由は、自分たちでアプリを作っていろいろできる点、そして「チーム応援ライセンス」が用意されている点だった。チーム応援ライセンスはNPO法人などに用意されている支援プログラムで、900ユーザーで年額9900円で提供されている。そのプランを利用し、500人のメンバーでフル活用しているという。
構築したシステムはkintoneを中心として、サービス利用者やボランティアが応募するフォームはWordPressで作成。メールはメールワイズで管理している。WordPressのフォームとkintoneアプリの開発はkintoneエバンジェリストの細谷崇さんにお願いしたそう。もちろん、kintoneアプリの管理はチャリティサンタのボランティアたちで運営している。
訪問前にはどこの家庭か紙の地図を広げて確認していたが、kintoneでは情報が入った時点でマッピングできるようになった。訪問時間が変わっている場合などはピンの色が変化したり、ピンをクリックすることでレコード詳細画面が開くといった工夫が凝らされている。
「ありがたいとことに年々、支部の数が増えています。支部が増えたら、すべてのアプリにアクセス権限をぽちぽち設定しなければいけません。それが大変だったので、アプリ間でレコードの権限をコピーするツールを作ってもらいました」(青山氏)
いろいろカスタマイズしているのだが、実はほとんどcybozu Developer networkなどのコミュニティサイトを見ながら、エンジニアではないメンバーが独学で実装しているという。
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