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シャープ、イヤホンとしても使える補聴器「メディカルリスニングプラグ」

2021年08月31日 14時00分更新

文● 盛田 諒 編集● ASCII

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メディカルリスニングプラグ
2021年9月中旬以降発売
想定実売価格 9万9800円(非課税)
シャープ

https://jp.sharp/mlp/

 補聴器市場にシャープが参入。ウェブ会議で「もう一度お願いできますか」と聞きなおすなど、仕事で声が聞こえにくくなってきた人が、メガネのように気軽に使える補聴器を開発しました。

 シャープが8月31日に発表した「メディカルリスニングプラグ」は、軽度・中等度の難聴者に向けたもの。補聴器はまだ早いと思っていても聴こえにくさの自覚はある人に向けています。

 特長はスマホを通じて「フィッティング」をすること。

 一般的な補聴器は、使用を開始する前に、ユーザーが店舗に出向いてスタッフが聴力を確かめながら調整するフィッティングが必要です。満足するまでの調整回数は3〜10回程度。コロナ禍では対面サービスの不安もあって、面倒です。

 シャープでは公式アプリ「COCORO LISTENING」を通じ、認定補聴器技能士や言語聴覚士などの資格をもつ専用スタッフ(フィッター)にオンラインでつなぐことで、自宅にいても聞こえのパラメーターを細かく調整できるようにしています。

 アプリホーム画面のアシスタントボタンを押せば、聴こえについてチャットなどで相談ができるようになっています。

 スマホを通じたリモートフィットサービスは購入後60日間が無料で、以降は有料のオプションに(60日間で1万1000円)。5年間の延長保証と盗難・紛失保証、1年間のリモートフィットサービスをセットにした「ケアプラン」もオプションとして提供します(3万3000円)。

 また、オンライン会議、騒がしいところ、バス・電車など利用環境にあわせてあらかじめ10通りの利用シーンを用意。最大4つまでシーンを本体に登録しておき、アプリから設定できます。

 補聴器としてだけでなく、通常のワイヤレスイヤホンとしても使用可能。ノウルズ・エレクトロニクス製のバランスド・アーマチュア型ドライバーを採用し、中高音域に強い設計。マイク内蔵でハンズフリー通話も可能。ただしイヤホンとして使用するときは補聴器としての設定が無効になります。

 一般的なフルワイヤレスイヤホン同様に充電ケースが付属し、充電ケースを使った場合の最大駆動時間は55時間。充電にはUSB Type-Cケーブルに加え、内蔵のスライド式USB Type-Aコネクターを使い、PCから直接充電が可能です。IPX4の生活防水、IP6Xの防じんに対応し、水はねやホコリの侵入にもたえる設計です。

 外観からは普通のフルワイヤレスイヤホンにしか見えないデザインで、仕事で使うときは「これ補聴器なんです」という一言が必要になりそうですが、装着のハードルは低そうです。

 シャープはいま経営戦略として健康・医療・介護分野に注力していて、今回の補聴器は医療分野の第一弾という位置づけ。医療機器ベンチャーのニューロシューティカルズと協業して、シャープの技術を使った製品を開発することになりました。

 補聴器市場初参入となるシャープの競争力は価格です。

 フィッティングを初めとした窓口のサービスをオンライン化、オプション化したことにより、一般的な補聴器に比べて価格を大きく下げたということ。一般的な補聴器はサービスの技術料を含めると30万円程度かかってしまうところ、シャープは約3分の1にあたる10万円程度まで下げられたと説明しています。

 シャープによれば、軽度・中等度の難聴自覚者のうち補聴器を持っている人の割合は12%。非保有者は人数にして1134万人ほどいるということ。コンセプトとしては面白いのですが、10万円を投資する価値を見出す現役世代がどれくらいいるかは未知数です。

 とはいえこのごろ個人的に「すいません、もう一度」が増えているので、一度試してみたほうがいいのかもしれません。

 

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