「すみません、ちょっと換気しますね」
「あっ!大きな蛾が入ってきた!!!」
「うわっ!! 大切な書類が飛ぶーー!!」
「先生!全く聞こえません!」「ええっ!なんだって!」──
小さなカフェも大きなビル並みの換気が推奨
いま、新型コロナウイルスの蔓延により、オフィスや飲食店などの人が集まる施設における空気環境の見直しが求められています。
これまで、延床面積3000m2の規模の大きい施設に関しては、ビル管理法の下で1人あたり毎時30m3の必要換気量確保が義務付けられてきました。しかし昨年、新型コロナウイルスが広がると、換気の悪い密閉空間を改善するためには小規模施設に関しても換気の必要性が説かれ、厚生労働省は「ビル管理法に基づく必要換気量、1人あたり毎時30m3を確保することを推奨する」との声明を発しました。
とはいえ、雑居ビル等の既存ビルにおいて、必要換気量を確保するための換気設備を後付けするのは容易ではありません。大規模施設は新築時に天井等に換気設備を設置していますが、既築ビルで後から換気設備およびダクトを天井に設置するのは多大なコストと長い工期が必要になり、現実的ではありません。
窓を開けると暑い!寒い!虫が!騒音が!花粉が!風が!!!
そのため現在、飲食店や学習塾などでよく行なわれているのが、窓開け換気。窓やドアを実際に開けて空気を入れ替えるというシンプルかつコストのかからない方法です。しかし、これには2つの大きなデメリットがあります。
1つは、冷暖房効率が落ちること。
厚労省では、窓開け換気する場合は「30分に1回以上、数分間程度、窓を全開する」「空気の流れを作るため、二方向の壁の窓を開放する。窓が1つしかない場合はドアを開ける」ことを推奨していますが、真夏の暑い日に頻繁に窓を全開すれば冷房の冷気が逃げて室温が上昇。窓を閉めた時に再度冷房がフル稼働するので、余分な電気代がかかります。真冬の暖房時も同じ。冬ならせっかく加湿して潤った空気までも外に出てしまい、加湿機も再度フル稼働となります。
もう1つの欠点は、全開した窓から様々なものが室内に入り込んでしまうこと。
春には大量の花粉、幹線道路に近い立地ならば車の排気ガスと騒音。道路工事の轟音、救急車など緊急車両のサイレン、踏切、列車の通過音……飲食店やオフィス向けの雑居ビルには窓に網戸がない場合もあるので、夜になれば蚊や蛾などの虫が飛び込んでくることも。雨や風などの自然現象が吹き込んでもきます。
結果、塾では講師の声は聞こえず、オフィスでは電話もできず、プリントや書類が風で吹っ飛ぶ。飲食店も落ち着いて食事やコーヒーを楽しむことができなくなる。換気の必要性は理解しているけど、とてもじゃないけど業務を続けられたものではありません。
ロッカー大のスペースに後付けできる換気ユニット
こうした悩みを一気に解決するシステムが昨年末にパナソニック株式会社 ライフソリューションズ社から発売されました。「業務用 熱交換気ユニット 床置形」です。
業務用 熱交換気ユニット 床置形(FY-500ZR1N)
メーカー希望小売価格49万8000円(税別、工事費別)
サイズは幅520×奥行き450×高さ1775mmと、学校にあった掃除用具ロッカー程度で、小規模な施設でも設置が可能。設置工事は本体背面にダクト用に2つの穴を開けるだけなので天井設置する場合に比べて施工が簡単にすませられます。なお、設置する機器は室内の本体だけで、室外機はありません。
工事は背面から給気と排気のダクト2本を出すための穴をあけるだけです。
外壁側の問題で下部に穴を開けられない場合は上部からダクトを出すこともできます。
窓開け換気に比べて光熱費を大幅削減できる
本機の大きな特徴は、熱交換気ユニットの名の通り、外気と室内空気の入れ替え時に熱交換素子で熱の回収をするため、冷暖房中の快適な室温を損ないにくいこと。熱交換と同時に湿度も移動するため、冬は室内の加湿した潤い空気を逃しにくく、逆に夏はジメジメした外気の湿気の侵入を軽減できるのです。
また、換気しても熱ロスが少なく、冷暖房効率が落ちないので、余分な電気代もかかりません。熱交換をしない普通の換気と比べた場合、例えば札幌ならなんと年間約3万3000円、東京でも年間約8000円も電気代が安くなる計算になります(パナソニック株式会社 ライフソリューションズ社による試算)。小規模事業所にとって、この光熱費削減は大きいのではないでしょうか。
3つの高性能フィルターで室内空気をいつもきれい
取り込む空気の質にもこだわっています。まず、外から取り込んだ空気を外気(OA)フィルターできれいにしてから、給気(SA)フィルターでさらにきれいして室内に放出。加えて、戻ってきた室内の空気を還気(RA)フィルターできれいにしてから本体に取り込むという徹底ぶり。さらに、通常の「ナノイー」の10倍のOHラジカルを放出するという「ナノイーX」も搭載しています。
3つのフィルターとナノイーXにより、室内を循環する空気はいつもきれい。なお、運転日数が90日以上になるとフィルター掃除ランプが点灯しますが、お手入れは3つのフィルターの汚れを掃除機などできれいにするだけ。業者に頼むことなくメンテナンスできます。
また、本体にはCO2センサーを搭載しており、換気自動(オート)モードに設定すれば、室内のCO2濃度から室内の人の多さを検知。自動的に風量をアップして、換気量を増やします。風量は強(500m3/時)、中(400m3/時)、弱(300m3/時)の3段階で、運転音は43~24dBと、強モードでも図書館内のレベル。ビジネスや授業の邪魔になりません。
ちなみに、設置基準は施設の床面積ではなく、利用者1人あたりの必要換気量をベースとしているため、施設のスペースと利用人数によって必要台数が変わってきます。
同じ床面積でも、たとえば学習塾のような人数を詰め込む施設では2台、カフェのようなゆったりしたスペースでは1台と異なります。
いい換気でいい仕事を
業務用 熱交換気ユニット 床置形を導入することで窓開けで寒くなったり、風で書類が飛んだり、虫が入ったり、騒音で業務が止まったりする不便が解消されます。
まだしばらくはコロナ禍が続きそうですが、たとえコロナ禍が収束したとしても、室内の空気質向上に対するニーズは収まることはないでしょう。花粉、PM2.5、カビなど、空気中には人体にとって有害な物質がさまざまに含まれ、締め切った室内に滞留する空気の中で過ごすことにストレスを感じる人も多いと思われます。
コロナ禍以前にも、冷暖房時には定期的に窓を開けて換気することが推奨されていました。室内のCO2濃度が高まると思考力や集中力が減少し、勉強や仕事の効率が落ちるからです。自治体によっては、高機能換気設備の導入に補助金を出しているところもあります。集中力を減少させない環境づくりのため、この機会に高機能換気設備の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
著者紹介──近藤克己(こんどう かつみ)
1966年生まれ。福島県出身。ロジスティクス分野の業界紙記者、IT&家電製品の月刊誌編集長を経て、独立。現在、フリーライターとして活動中。得意分野は流通、物流、生活家電、企業経営。
(提供:パナソニック株式会社 ライフソリューションズ社)