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最新の自作PC電源事情を紹介しつつ、「XPG Core Reactor 850W」をテストする

XPGの80PLUS Gold電源「XPG Core Reactor」は製品選びのポイントを好条件で満たす1台

文● 鈴木雅暢 編集● ASCII

提供: エイデータテクノロジージャパン

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 自作PCにおいて電源ユニットは、地味ではあるが各パーツに電源を供給するという重要な役割を持っており、いい加減に選択してしまうとあとで痛い目に遭うこともある。ライフサイクルが長いパーツでもあるので、最新のPC事情を反映し、かつ目的のシステムに合致した製品をしっかりと選びたい。今回の記事ではXPGの「XPG Core Reactor 850W」という製品を紹介するが、その前にまずはイマドキの自作PC向け電源選びのポイントを考えてみたい。

電源ユニットは、PCの安定性を影で支える重要パーツ。適切なものをしっかりと選びたい。今回はその電源ユニットの製品選びのポイントを紹介しつつ、「XPG Core Reactor 850W」の性能を見ていく

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電源選びのポイントは主に6つある

 電源を選ぶ場合のポイントはざっと以下の6点が挙げられる。

●出力(容量)……出力表も確認したい
●サイズ……奥行き140mmが標準に
●ケーブル……プラグインが便利
●80PLUS……変換効率の指標
●搭載ファン……静音性
●コンデンサ、保証期間……品質の裏付け

 出力容量の目安としては「システムに最大に負荷をかけたときの電力の1.7~2倍」といったところ。たとえば、ワットチェッカーでの高負荷時の計測値が350Wならば、600~700Wくらいが目安になる。

 一般に、システムの中で最も消費電力が大きいのはビデオカード。ワットチェッカーがない場合や、これから組むシステムの場合は、グラフィックスボードの電力を目安にしよう。

 最近はGPU/グラフィックスボード推奨電源容量も参考として公開されるようになっており、たとえば、NVIDA GeForce 3070 TiであればTDPが290Wで推奨電源は750Wとなっている。

電源ユニットの出力表の見方

 電源の出力を見る時は「~W電源」というだけではなく、出力表を確認しておきたい。出力表には、+5V、+3.3V、+12V、+5VSBなどそれぞれの電流(電力)が一度にどれくらい供給できるかが書いてある。

 たとえば、下の写真は「XPG Core Reactor 850W」の出力表。まず「+3.3V」と「+5V」のところを見てほしい。これは「+3.3V系と+5V系合計で120Wまで出力できる」ことを示す。逆に言えば、+3.3V系と+5V系だけで120Wを超えて利用すると、全体の消費量にかかわらず出力不足に陥るということである。

XPG Core Reactor 850 Goldの出力表。+12V系だけで850Wフルに使い切ることができる設計になっていることがわかる

 ただし、最近のシステムでは+3.3Vや+5Vの消費量はわずかで、120W以上使われることはまずない。それより注目すべきは+12Vのところ。消費電力の大きいCPUとGPUの両方が+12V系電流を利用するので、+12系で何Wまで出力できるかが重要になってくる。

 「+12V1」「+12V2」のように+12V系が複数あり、それぞれ上限電力が示されている場合があるが、それも実は最近のシステムにはそぐわない。仮に、それぞれの上限が「300W」「550W」ならば、上限300Wのほうのケーブルでハイエンドのビデオカードを接続してしまうと、他のパーツの電力消費量が少なくても出力不足に陥ってしまうことになる。

 そこで再び、XPG Core Reactor 850Wの出力表に戻ると、「+12V」の欄は1つのみで「850W」、+12V系だけで850Wフルに使い切ることができる設計になっている。現在のPCシステムにおいては、このように+12V系が1系統(シングルレール)で、+12V系の上限が総出力と同じ(に近い)仕様がベストといえる。

サイズとケーブルは、140mm+プラグインがトレンド

 サイズについては、ATX電源であれば幅と高さは共通だが、奥行きは製品によって違っている。最近はコンパクトな選択肢が増え、140mmが標準になりつつある。

容量が足りるのであれば、奥行きは短いほうがPCケース内でも収まりがよく組み立てもしやすい。以前は奥行き160mmが標準だったが、最近は高効率化の影響もあって、超大容量以外は140mmが主流になりつつある

 PCケースのスペックにはどの長さまでの電源が入るか記載されているが、上限ギリギリだと苦労することが多い。上限よりも少し小さいサイズを選んだほうが、収まりがよく、組み立てもしやすい。

 またケーブルは、着脱式のプラグイン(モジュラー)タイプが使いやすい。容量が大きい電源はたくさんのケーブルが付属しているが、最近の自作PCではコネクターの必要数はグンと減っており、持て余すことの方が多い。不要なケーブルを接続しなければそれだけ取り回しも楽で見た目にもスッキリ、エアフローも向上といいことばかりだ。

ケーブルは着脱可能なプラグインタイプだと必要なぶんだけ接続すればよく、PCケース内で取り回しがしやすい

80PLUSのグレードはどこまで重視するべきか?

 電源ユニットの役割は、家庭用コンセントから供給される交流電流を直流電流へと変換して各PCパーツへ供給することにある。

 この変換の効率の良さを示すのが、80PLUSのグレードだ。最上位のPlatinumから無印(Standard)まで5段階のグレードがあり、上位に行くほど変換効率が優れていることを示す。

80PLUSの仕様(115V、非冗長電源)。認証を取得するには、10%、20%、50%、80%それぞれの負荷率の時の変換効率要件をクリアする必要がある(https://www.clearesult.com/80plus/program-details#program-details-table)

 変換効率が高いということは、変換ロスが少ない。つまり、電源自体の消費電力や発熱が少ないということだ。静音化しやすくなるというメリットもある。

 変換効率の高さは必ずしも高品質に直結するわけではないし、微妙な消費電力の差にどれだけコストをかけるのかという問題はあるが、大容量コンパクトな電源では、放熱の負担を減らすためにもある程度の高効率は欲しい。

 実際、かつての750W以上の大容量電源は奥行きが160mmよりも長いものが多かった。今ではXPG Core Reactor 850Wのように850Wで140mmの電源もあるが、これは高効率設計がなされている結果というわけだ。

静音性を左右するファンカーブも見てみよう

 静音性に直結するのがファンの仕様。一般に大口径なファンほど低回転で大きな風量が得られるため、大口径ファンの搭載が望ましい。多くの製品はファンの回転速度は可変で、負荷状況に応じて回転速度が変わる。

 ファンの回転速度は、一般に1000rpmを下回るとほとんど音はしないので、静音性を重視するなら高負荷時でも1000rpm以下になるような出力容量をあえて選ぶという手もある。

 さて、XPG Core Reactor 850Wは、大口径の可変12cm角ファン(最大2400rpm)を搭載。ファンカーブを見ると、負荷率50%までは660rpm、そこから徐々に上昇し、負荷率60%時に1000rpm、最大負荷では1800rpmとなる仕様となっていることが読み取れる。つまり、高負荷時425Wまでのシステムならば、常時700rpmで運用できるということだ。

製品のパッケージより、XPG Core Reactor 850 Goldのファンカーブの情報。負荷率50%までは660rpmでそこから上昇し、60%時で1000rpm、最大負荷では1800rpmとなっている

日本製コンデンサや長期保証も必ずチェックしたい

 電源ユニットの品質、長期耐久性の目安となるのが、搭載コンデンサのブランドや保証期間だ。電源ユニット内部の部品の中でも熱に弱く、経年劣化しやすいのがコンデンサだ。コンデンサの品質は、長期耐久性や電流の安定性に影響するだけに、多くの製品は、1次側(入力側)、2次側(出力側)ともに日本製コンデンサで統一し、そのことを公表して高品質をアピールしている。

XPG Core Reactor 850 Goldの内部写真。1次側は日本ケミコンの105度電解コンデンサ、2次側はニチコン製の105度固体コンデンサを採用している

 電源ユニットの保証期間はさまざま。安価な製品では2年程度のものもあるが、5年、7年、あるいは10年といった長期保証をうたっている製品もある。長期保証ができるということは、それだけ内部の品質に自信があるという裏付けでもあり、信頼性の指標になりうる。

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