4月に開幕した2021年のSUPER GTは、早くも中盤戦に突入。7月17~18日にはツインリンクもてぎで第4戦が開催され、今回もGT300クラスは手に汗握る優勝争いが展開された。
予選はタイヤがハマった11号車GT-Rが
文句ナシのポールポジション
本来なら5月末に第3戦鈴鹿大会が予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大で、三重県にまん延防止等重点措置が開催時期に出されていたこともあり、急きょ8月に延期することを決定。そのため、第4戦もてぎ大会が先に行なわれた。
2ヵ月半ものインターバルが空いたこともあり、マシン・機材の搬入が進む金曜日のパドックは、久しぶりにレースができるという安堵の雰囲気が漂っていた。
毎年、夏場の暑い時期にもレースをするSUPER GTだが、7月の梅雨明け時にツインリンクもてぎが舞台となるのは初めて。予選日から気温30度を超える灼熱のコンディションとなった。
そこで速さをみせたのが、11号車 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信)だった。まずは予選のQ1、A組で平中が1分48秒334でトップタイムを記録すると、続くQ2では安田がライバルを圧倒。1分47秒737で今季2度目のポールポジションを獲得した。
彼らが履くダンロップタイヤは、今回のような夏場に強い傾向がある。そして現行の日産GT-R GT3はもてぎを得意としている。こういった要素も重なり、予選での快進撃につながった。
決勝は気温も路面温度灼熱地獄! ドライバーもマシンもタイヤも耐久
翌日の決勝は気温33度、路面温度51度と前日をさらに上回る暑さとなった。
ポールポジションの11号車は安田がスタートドライバーを務め、順調にレースをリード。それでも2番手の244号車 たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤 優威)をはじめライバルたちがしっかりと食らいついてくる展開。ひとつのミスで順位が変わってしまう位置関係だった。
その中で安田はミスのない走りで25周目にピットイン。後半担当の平中へバトンタッチする。
ここまでは完璧な展開でレースをリードしていた11号車。今季初優勝も見え始めてきたが、後半に入って、レースは予想外の展開に進んでいく。
全体のトップが42周目に入ったところで、35号車 arto RC F GT3(ショーン・ウォーキンショー/ナタポン・ホートンカム)のマシンから煙が上がり、セクター2に入ったところでストップ。その後、出火も確認されたため、安全に事態を収拾するためにフルコースイエロー (FCY)が宣言された。
実は、2号車 muta Racing Lotus MC(加藤寛規/阪口良平)が、FCY導入のタイミングでちょうどピットストップを行なっていたのだ。FCY中のピットインは禁止となっているが、導入が宣言された瞬間に作業中の車両に関してはペナルティーの対象とはならない。
さらに2号車はタイヤ無交換作戦を選択。これらの条件が重なったことで大幅にタイムを稼ぎ、11号車の前でコースに復帰。クラストップに立ったのだ。
しかし、2号車に圧倒的なアドバンテージがあるわけではなく、すぐに11号車と52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)が追いつき、三つ巴のバトルに。それでも、自分たちの強みを生かした2号車が最後までトップを守り抜き、今季初優勝をマーク。後半スティントを担当した阪口良平にとってはGT300初優勝となった。
「加藤さんが1台ずつ抜いてきてくれながらスティントを長く引っ張ってくれて、それで僕が担当した後半はタイヤ無交換で行くことになりました。個人的にはSUPER GTでの1勝目ということでうれしいです。予選順位からしたら優勝するなんて想像できなかったですけど、こんなこともあるんだ、という感じですね」と阪口。
2号車のロータス・エヴォーラMCは今年からチーム体制が新しくなりmuta Racingとタッグを組んでいる。最初はうまくいかない部分もあったようだが、2ヵ月半のインターバルの間に、現状の分析をしっかりと行ない、対策を施してもてぎ戦に挑めたことが大きかったようだ。
前半スティントを務めた加藤は「チームとしても新しい体制で初めて勝つことができたので、みんなに感謝しています。まず1勝できたことで、応援していただいている皆さんにひとつ恩返しができたかなという気持ち。ロータスMCが得意なところと不得意なところが当然あるんですけど、新しいパッケージで戦っている中で僕は去年までとは違う新しい可能性を感じています」と、今回の勝利で自信を深めていた様子だった。
うだるような暑さでも笑顔は変わらない
レースクイーンたち
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