カメラの実力は非常に高いがスキルも必要
続いて注目度の高いカメラについて触れていこう。AQUOS R6はAQUOS R5Gとはカメラの構成がまったく異なっており、メインカメラは約2020万画素/F値1.9のカメラが1つ、フロントカメラは1260万画素/F値2.3。一般的なスペックで見ると、かなり見劣りするように見えるが、冒頭でも触れた通り1インチのイメージセンサーとライカが監修したレンズを搭載しており、むしろより高い性能を備えている。
イメージセンサーが大きければ、それだけ取り込む光の量が多くなるため、複数の画素をまとめて1つにするなどの必要がなくなり、暗い場所での撮影により強くなる。しかもAQUOS R6は、1つのカメラで6倍までのズームをカバーする形となっているため、ズームの度合いによって撮影時に明るさや色合いが異なる、といった問題があまり発生せず、統一感のある絵作りができるのはうれしい。
実際に使用したのは2021年6月末から7月頭にかけてと、梅雨時ということもあって雨天・曇天での撮影となったのだが、AIによる加工処理がなくても綺麗に写せているのはレンズやセンサーの力が大きいと感じる。
またイメージセンサーの大きさにより、ソフトウェア処理を使わなくても背景をぼかしやすくなるというのもメリットだろう。AQUOS R6にもソフトウェア処理による「背景ぼかし」の機能は備わっているのだが、そちらと撮り比べてみた場合、背景ぼかしは見た目に分かりやすいボケ効果が出せるのに対し、通常撮影の場合は髪の毛など細かな境界線の潰れも発生せず、より自然なボケ効果が得られる印象だ。
ただ実際に色々撮影を試してみると、目的とする被写体にフォーカスが合わせづらいと感じるシーンが多かった。またカメラとしての機能を重視しているだけに、ソフトウェア技術をフル活用した最近のスマートフォンカメラと比べた場合、分かりやすく綺麗な写真を撮影するのは意外と難しいと感じたのも確かだ。カメラに詳しい人なら高い満足感を得られるだろうが、そうでない人は評価が分かれるだろう。
一方で動画撮影に関しては、画素数が小さいこともあってAQUOS R5Gに備わっていた8Kでの撮影には対応しておらず、4Kで撮影した動画を8K画質にアップコンバートする仕組みで対応する形となる。なお従来から用意されている「AIライブシャッター」などの機能は引き続き利用可能だ。
性能は最高クラスだがワイヤレス充電は見送り
性能面を確認すると、チップセットはクアルコムの最新ハイエンド向け「Snapdragon 888」を搭載しており、メモリーは12GB、ストレージは128GB。ベンチマークを取ってみても同クラスのスマートフォンに引けを取らない内容で、現時点では最高クラスと言って間違いない。
ゲームもいくつか試してみたが、主だった所でいうと「PUBG MOBILE」では現状Androidでは最高の「FHD」、「原神」でもデフォルトで「中」、画質を最高に上げても支障の出ないプレイが可能であるなど、スマートフォンでは最高クラスの設定でプレイできた。
それに加えてディスプレーのリフレッシュレート120Hz駆動にも対応しているほか、それに加えて「AQUOS zero5G basic」などと同様、アプリをゲーミング登録すれば240Hz駆動に対応し、より滑らかな表示を実現できる。こうした点もディスプレー素材が有機ELに変更されたメリットといえ、ゲーミング用途としても十分な実力を持つことは確かだろう。
またバッテリー容量は5000mAhと、AQUOS R5G(3730mAh)と比べ大幅にアップしており、こちらも現行のスマートフォンでは最高クラスといえる。ただその一方で、AQUOS R5Gに続いてワイヤレス充電への対応は見送られているようで、手軽に充電したいというニーズに応えられていない点は残念な所だ。
もちろん国内メーカーの携帯大手向けモデルということもあって、IP68の防水やFeliCaなど、基本的な性能はしっかり抑えられている。最近のAQUOSシリーズのスマートフォン同様、指紋でのロック解除と同時に決済アプリなどを起動できる「Payトリガー」も搭載されており、FeliCaでもQRコード決済でも、決済がしやすい仕組みが整えられているようだ。
【まとめ】有機ELの効果がてきめん、カメラはやや玄人向け
改めて振り返ると、AQUOS R6はカメラだけでなく、ディスプレー素材を有機ELに変更した影響が非常に大きいと感じる。AQUOS R5Gでの不満点だったデザイン面の課題が有機ELの採用で一気に解消されており、所有している満足感が大幅に高まっているのはうれしい。
一方でカメラに関しては、1インチセンサーの搭載で確かに高い実力を持つようになったと感じるものの、最近多くのスマートフォンが力を入れている、ソフトウェア加工をフル活用した写真の人工的な綺麗さに慣れている人が使うと、期待外れの印象を受けてしまう可能性があるのも気になった。一括で10万円を超える価格を考慮しても、「Xperia 1 III」などと同様、カメラに知識を持つ人が工夫して撮影するのが楽しい、やや玄人寄りのスマートフォンといえそうだ。
シャープ「AQUOS R6」の主なスペック | |
---|---|
ディスプレー | 6.6型Pro IGZO OLED(19.5:9) |
画面解像度 | 1260×2730 |
サイズ | 約74×162×9.5mm |
重量 | 約207g |
CPU | Snapdragon 888 5G(オクタコア) |
内蔵メモリー | 12GB |
内蔵ストレージ | 128GB |
外部ストレージ | microSDXC(最大1TB) |
OS | Android 11 |
5G対応 | サブ6 |
無線LAN | Wi-Fi 6 |
カメラ画素数 | 約2020万画素(F値1.9、19mm相当)+ToF イン:約1260万画素(F値2.3、27mm相当) |
バッテリー容量 | 5000mAh |
防水/防塵 | ○/○(IPX5,8/IP6X) |
FeliCa/NFC | ○/○ |
生体認証 | ○(画面内指紋、顔) |
SIM | nanoSIM×2 |
USB端子 | Type-C |
イヤホン | ○ |
カラバリ | ブラック、ホワイト |
取り扱い | ドコモ、ソフトバンク |

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