カラー原稿は最終的に2つの色味で読者に届く
―― DualView機能で画面の左右を異なる設定にして表示できます。
筆吉 今回、既存のカラー原稿で試してみたところ、色味の違いが一目瞭然でこれは便利そうです。
漫画のカラー原稿はクリスタのCMYKモードで作業するのですが、最近はRGBの色味(電子書籍)で読者に届くことも多くなりました。つまり、「自分の環境で彩色した原稿」「その原稿を元に印刷された紙」「電子書籍としてスマホに表示された画像」ではそれぞれ色味が微妙に異なるのですね。
私はそれほど気にするほうではありませんが、自分の世界をきちんと見せたい作者や、特定のカラー認証を指定されるようなジャンルのお仕事をされているクリエイターの方々にとっては手放せなくなる機能かもしれません。ホットキーパックG2の機能割り当ては、まさにそういった方々に重宝されるのでは。
モバイルPCを母艦にした作画環境構築が楽に
―― 「PD2725U」はThunderbolt 3に対応しています。
筆吉 初めてPCとモニターをThunderbolt 3のケーブル1本で接続したのですが、ずいぶんスッキリするんですね。
これまではモニターのほかペンタブレット、マウス、キーボード、スキャナー、デジカメなど、PCに接続しなければならない機器が多すぎてインターフェイスが渋滞を起こしていたのですが、手に近いペンタブ、マウス、キーボードを「PD2725U」側に接続して集約することで、机上の配線に気を回すことが減りました。
筆吉 PCに給電できるのも利点です。現在はデスクトップPC環境ですが、これならMacBook Proのような高性能ノートに代えることもできますね。ちょうどMac専用の画面モードもありますし。どちらにせよ、次に作業環境を整える機会があれば、Thunderbolt 3対応は重要な条件だと思いました。
また、ネームを切るなど作画に入る前の作業を外出先で行なう漫画家さんも少なくありませんし、対面の打ち合わせにノートPCを持ち込むことも珍しくないので、室内から動かさない周辺機器を「PD2725U」側に接続して、そのほかをノートPCにつなぐようにすれば、持ち歩けるノートPCを母艦にした作画環境を構築できますね。
「PD2725U」のThunderbolt 3とUSBハブ機能で環境構築の選択肢が広がった感があります。
モニターを長時間見つめる漫画家の「眼」に優しい
―― 眼にも優しいのが「PD2725U」の特徴です。
筆吉 仕事場は北向きの部屋で、窓にカーテンを付けず日中の自然光でちょうどいい明るさになるような環境に整えているんです。ちょっと薄暗いぐらいが作業に向いているので。
でも、そういった環境で作業をしていると、画面の輝度が高すぎると眼がとても疲れるんですね。それに漫画の作画作業中はどうしても白黒の画面を見続けることになるので、コントラストが強すぎてもやっぱり疲れる。
明るすぎずコントラストが強すぎない、でも視認性は高くて眼が疲れにくい、作業時のストレスが少ない。それが「PD2725U」を使って感じたことですね。フリッカーレスでちらつきが少ないのも貢献しているのかなと思いました。
―― ブルーライトカット機能はいかがでしょう?
筆吉 これに関してだけは、オンにすると色味が変わってしまうのは否めないので、作業中はオフにしていました。
とはいえ、使い道がないわけではなく、仕事用とは別のPCを「PD2725U」に接続して、作画参考用にWebサイトや動画を見るときには適宜表示を切り替えてブルーライトカット機能を利用する、といった運用が可能でした。