業務を変えるkintoneユーザー事例 第105回
営業マンと事務員の特性に注目し、情報の受け渡しを再定義
情報はバトン 取りこぼしていたアドレスがkintoneで試したこと
2021年06月14日 09時00分更新
IT導入につきまとう課題の1つに、導入する側と業務で使う側の意識のズレがある。これがあれば楽になるはずと思って導入したシステムが業務の実態に合っていない場合、現場の反発を招くことになる。kintone hive sendai 2021に登壇したアドレス株式会社もその轍を踏み、現場の営業マンから不満が噴出することとなった。そこから起死回生、kintone導入を成功させ全社をワンチームにした奮闘の軌跡がここにある。
クレームをなくしたいという思いからスタートしたkintone導入
アドレスは、福島県、宮城県に十数店舗を展開する不動産会社。同社にはかつてさまざまなトラブルがあったと、同社の小林 涼香氏は語り始めた。
「あまり公にはできないようなトラブルが多々あり、毎日大なり小なりクレームもありました。このままではいつか大変なことになるのではないかという思いがありました。そこで、そもそもなぜクレームがあるのか考えました」(小林氏)
目をつけたのは、営業マンの仕事の多さだった。営業マンが仕事を持ち過ぎて手が回らなくなり、クレームにつながっていた。しかも営業マンが情報を抱え込んでいるので、周囲のスタッフもフォローできない。このままではいけないと、営業マンの仕事が見直されることに。
「営業マンの仕事はお客様あってのものであり、本来は対面している時間を大切にすべき。しかし実際には他の業務も多く、業務全体の2~3割程度しかお客様対応に時間を割けていませんでした」(小林さん)
この状況を打破すべく考案されたのが、営業マンの仕事を分業化することだった。営業マンがいま抱えている仕事を、営業マンでなければできない仕事と、営業マンでなくてもできる仕事に分ける。そして後者を他の人で負担すれば、営業マンの仕事に余裕ができるのではないかと考えられた。その分業化に役立つと知り合いの企業からお勧めされていたのが、kintoneだったという。
「すぐに飛びついてトライアルをし、これは使えると感じました。導入はすぐに決まり、どういう風にアプリを作ればいいかという検討に進みました。業務に必要なデータの流れを書き出し、それぞれどのようなアプリが必要なのか考えました」(小林さん)
こうした検討を経て最初に作ったのが、顧客管理アプリだ。従来、営業マンは顧客情報を紙で管理しており、他の担当者と共有されていなかった。顧客や案件の情報がわからないので、担当営業マン以外は問い合わせに対応できない。この情報をアプリ化して、みんなが見えるようにすれば担当営業マンが外出中であっても、問い合わせに適切に対応できるようになるはずだ。
少しずつアプリを増やしていき、カテゴリごとにアプリを分類したポータルも整備した。これでうまく会社が回り、クレームも減る。そう信じてアプリの開発と改善を続けていった。一見、うまく行っているように見えていたのだが、実は陰で営業マンの不満が蓄積していたのだった。
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