今年のGoogle I/Oを一言で表すのは難しい。
いや、毎回難しいのは難しいのだが、特に今年は濃度が高く、分析が大変な年でもある。2020年のGoogle I/Oがコロナ禍で中止になった関係もあるのか、まるで溜めていたものを一気に打ち出したように、ネタの多いイベントになっている。
どこを切り口とするかは人によってまちまちだと思うが、筆者の基準で、重要と思われるものを5つピックアップしてみたいと思う。
今秋のデバイスが楽しみな「Android 12」と「Wear OS」
1つ目、2つ目はわかりやすく、多くの人にすぐ影響が出るところから行こう。「Android 12」と新「Wear OS」だ。
これらのOSは毎年アップデートされていて、アップデートそのものは驚きではない。ただ、今年は特に面白い年になる。
Android 12は、久々にデザインとそれを支える仕組みが大きく変わるバージョンになる。導入される「Material You」という仕組みは、UIコンポーネントのアニメーション動作がよりなめらかになり、デザインテイストを崩さず、好きな色にカスタマイズするのも容易になる。また、UWBを使って自動車の「スマートキー」になる機能や、Android TV(Google TV)のリモコンになる機能など、機器連携も強化される。
スマートウォッチ向けのOSである「Wear OS」では、より大きく根本的な変化が起きる。OSのコアがAndroidからTizenへ変わるのだ。
Tizenはサムスンがリードして開発しているLinuxベースのオープンなOSで、一時は「第三のスマホOS」とも騒がれた。だが、結局スマートフォン向けではAndroidの牙城を崩すことはできず、サムスンが自社のスマートウォッチ「Galaxy Watch」向けに使っている……という経緯がある。
Galaxy Watchはバッテリー動作時間の長さに定評があり、その理由はTizenにある、と言われている。スマートウォッチに対する消費者の不満はバッテリー動作時間に集中しているため、Wear OSのコアをTizenにして両者が統合されることは、ブランド力・エコシステム・バッテリー動作時間のすべての面でプラスと言える。
これらのOSを使った製品が出てくるのは今年秋以降になるだろうが、商品力アップにつながることは間違いない。